【ヒルマニア】MLB60戦強行開幕 7・24前後開幕も選手会は合意なし

 米大リーグ機構は22日(日本時間23日)、新型コロナウイルス感染拡大の影響で遅れていた開幕を強行することを表明した。交渉が平行線をたどってきた現状を「ヒルマニア」が解き明かす。

 米大リーグは、22日の夜になって選手会が理事会を開催し、機構側の60試合制について38人中、反対33、賛成5で拒否。それを受けて、今度は機構側が、別掲のようなスケジュールによる開幕を全30球団のオーナーの全会一致で可決した。開幕は7月24日前後で60試合になるという。

 機構側は声明文を次のように発表した。「選手会が、マンフレッド・コミッショナーとクラーク選手会専務理事がつくり上げてきた基本的な枠組みを拒否したことを、遺憾に思う。試合日程を決めるために、選手会には、7月1日までにキャンプに参加できるかどうか、公式戦、プレーオフを通じて健康安全面の手順を了承するかを明日の午後5時(日本時間24日午前6時)までに答えてほしい」と、マニュアルへの同意を求めた。

 労使は5月12日、無観客試合となることを受けて、機構側が当初合意していた年俸の試合数に比例しての支払いを破棄して削減案を出してから紛糾。米大リーグは過去8度もつらい労使紛争を経験した反省もなく、ともに自らの言い分だけを強調し続け平行線のままだった。コロナウイルスによって失業者が増え、黒人に対する差別問題でも揺れる米国内。緊急の場合の年俸など、サラリーキャップで決め順調に再開に向かっているバスケットボールのNBA、アイスホッケーのNHLなどとは対照的に、メジャーだけが条件闘争に走って、1994年から95年までの232日間の選手会ストライキ以上のマイナスイメージは必至だ。

 選手会としては、否決したことで異議申し立ての権利が残っており、60試合が無事に消化されるかもまだ不透明だ。この日の「これまで通り、契約に基づき、ファンと試合、お互いのためにフィールドに戻るために最善を尽くす」との選手会声明も、なぜか空虚に思えてくる。(ベースボール・アナリスト)

 ◆この日発表された開幕案(現地時間)

 ▽試合数 60

 ▽開幕日 7月24日前後

 ▽キャンプ開始 7月1日

 ▽ポストシーズン出場チーム 10(昨季までと同数)

 ▽年俸 試合数による比例制(60試合の場合は通常の年俸の37%)

 ◆メジャー開幕に向けての経緯(現地時間)

 ▼3月26日 開幕戦延期を受け、労使双方で試合数に比例した年俸で合意

 ▼5月12日 機構側が選手会側に、無観客試合が現実的になったことで、年俸は総収入の折半プランを出した上で、7月4日開幕の82試合。14チームがポストシーズン(PS)に進出プランも。

 ▼同26日 機構側が選手会側に大幅な年俸削減案提示。

 ▼同31日 選手会側が114試合案を提案。年俸は当初合意した試合数に比例して支払い要求。

 ▼6月8日 機構側が76試合制で、試合数に比例した年俸の半額を保証する案を提示。収益拡大のためPS進出は16チームに。 

 ▼同9日 選手会側が新たに89試合制の代案を提案。

 ▼同12日 機構側が3度目の提案として72試合制で、試合数に比例した年俸の70%。PSが行われれば80%にすると提案。

 ▼同13日 選手会側が72試合制を拒否し、交渉終結を通告。

 ▼同17日 MLB側が4度目の提案として7月19日開幕の60試合。年俸も試合数に応じた案に譲歩。

 ▼同18日 選手会側が70試合制提案も機構側が即座に拒否。

 ▼同22日 選手会側が機構側の60試合制提案否決を受け、機構側が強行開幕を発表。

蛭間 豊章
 (ひるま・とよあき)1954年3月8日、埼玉県生まれ。名門・大宮高野球部は1年で退部したが、野球への愛着が募り、73年報知新聞社入社。記録記者、MLB専門記者と野球一筋。野球知識検定3級。ウェブ報知内のブログ「ベースボール・インサイド」(https://weblog.hochi.co.jp/hiruma/)や野球コラムも執筆中。愛称は「ヒルマニア」。

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