巨人6000勝の軌跡~4000勝 吉村が劇的サヨナラ打

巨人・中日。9回2死一、二塁、中前にサヨナラタイムリー安打し巨人・桑田真澄(背番号18)らナインに祝福される吉村禎章。チームは通算4000勝を達成
巨人・中日。9回2死一、二塁、中前にサヨナラタイムリー安打し巨人・桑田真澄(背番号18)らナインに祝福される吉村禎章。チームは通算4000勝を達成

 巨人が19日の阪神との開幕戦(東京ドーム)に勝利し、球団通算6000勝を達成した。

 スポーツ報知では、「巨人6000勝の軌跡」と題して、1000勝から100勝ごとの節目勝利を、当時の記事で振り返る。

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◆巨人4―3中日(1993年5月30日・東京ドーム)〔勝〕桑田8試合4勝4敗〔敗〕今中9試合4勝4敗〔本〕バーフィールド7号(今中・6回)、落合博9号2ラン(桑田・8回)

 吉村のサヨナラ安打が巨人4000勝に花を添えた。8回、落合博の通算444本塁打となる9号2ランでいったんは3-3と追いつかれた巨人。しかし9回2死一、三塁で、吉村が今中から中前に鮮やかなタイムリー。今季2度目のサヨナラ勝ちで3連勝を飾り、巨人は首位・ヤクルトに1・5ゲーム差の2位に浮上。貯金1で5月を乗り切った。

 カツーンと乾いた音を立てて、吉村の打球が中前に弾んだ。三塁から躍り上がるように本塁に駆け込む緒方。一塁に走りながら、吉村は右手をぐっと握り締めてガッツポーズ。ナインを押しのけるようにベンチ前に飛び出した長嶋監督は、両手を広げてヒーローに抱きついた。

 プロ野球史上初のチーム4000勝に、花を添える劇的サヨナラ。「吉村がやってくれると思ってましたよ」絵にかいたような幕切れに、長嶋監督も唇が震えていた。

 終わってみれば桑田が8回、落合博に通算444号の同点2ランを打たれたのも、作られた芝居の一幕だったのか。「あれは僕の配球ミス」と頭をかいた吉原が9回表、今中の送りバントに飛びつく超ファインプレーで、サヨナラの舞台は整った。

 その裏、先頭の緒方が四球で出ると“筋書き”が見えた山倉コーチと岡崎が吉村にささやいた。「お前で決まるぞ」川相が送って、原が歩かされ…。吉村にも自分まで回る展開が瞬時に浮かんだ。「よし、オレで決めてやる」

 8回まで4打数ノーヒット。「今中は左打者にフォークとかいろいろ投げて、タイミングを外してきていた。でも、今日の直球は速くない。思い切っていこう」気持ちを高めて待っていた2死一、三塁。2球目、真ん中高めの直球。原からの借り物を参考に、21日の甲子園から使い始めたニューモデルのバットがきれいに捉えた。

 「最高ですね」吉村がお立ち台で真ん丸の笑顔を見せているころ、ベンチの裏では取材陣に囲まれた長嶋監督が早口でまくし立てていた。「ノーヒットでも吉村は勝負強いですからね。ああいう場面では絶対の強さを持ってますよ」

 同点に追いつかれた後の8回裏1死一、二塁でも微動だにせず吉原、桑田を打席に送った長嶋監督。選手との信頼の糸が、今季初の9人野球、サヨナラへ結び付いて、これほど気持ちのいい勝ち方もない。

 4000勝には「積み重ねですから」とあまり表情を変えなかった長嶋監督も、5月12勝11敗の貯金1には「4月がゼロ(8勝8敗)でしょう? 6月はもっと勝ち越しますよ」フフフと含み笑いが…。

 阪神も敗れて巨人は2位浮上。3試合連続の2ケタ安打と打線も本格化し、首位ヤクルトと1・5ゲーム差は完全に射程内だ。

 「やっと打線がベストに近いものになってきましたから…」後の言葉をのみ込んだ長嶋監督。あえて聞かなくとも、ファンには十分わかっている。(鈴木 憲夫) 

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