【2002年6月21日】「笑顔の魔術師」ロナウジーニョのナマ魔術を見た 日韓W杯

イングランドーブラジル戦、後半5分ゴールを決めたロナウジーニョ
イングランドーブラジル戦、後半5分ゴールを決めたロナウジーニョ

 世界中が熱狂した2002年日韓W杯。私は取材現場で走り回る幸運に恵まれた。

 日本がW杯で初めての勝ち点を挙げたベルギー戦。同じく初めて勝利したロシア戦。同じく初めて決勝トーナメント進出を決めたチュニジア戦。消化不良のまま終わってしまったトルコ戦。フィリップ・トルシエ監督が率いた日本代表の4試合はいずれも強く印象に残っているが、日韓W杯で最も面白いと感じた一戦は準々決勝のイングランド―ブラジル戦だった。

 2002年6月21日、午後3時30分キックオフ。会場は静岡エコパスタジアムだった。

 前半23分、イングランドのFWオーウェンが、ブラジルDFルシオがトラップミスしたボールをさらうと、ドリブル突破から右足で先制ゴールを奪った。

 ブラジルも負けてはいない。前半アディショナルタイムにMFロナウジーニョが華麗なドリブルからMFリバウドに絶好のパス。リバウドが左足できっちり決めて同点に追いついた。

 ハイライトは後半の5分。イングランドのMFスコールズが自陣ゴールから約35メートルのエリアでブラジルMFクレベルソンを倒してファウル。ブラジルがFKを得た。

 私の席は、そのファウルがあったエリアの正面だった。

 キッカーのロナウジーニョは白い歯を見せて笑顔でボールをセットした。

 しかし、次の一瞬。レフェリーがボールから目を離した隙を突いて、ロナウジーニョはボールを50センチ以上も前方にセットし直した。やはり、白い歯を見せてイタズラをするような笑顔で。

 キッカーがボールをセットし直すことは珍しくないが、ロナウジーニョのボールの動かし幅は大きく見えた。イングランド陣営が見逃すギリギリの距離まで動かしたように見えた。

 “笑顔の魔術師”と呼ばれたロナウジーニョがプレーが止まっている時に見せた“ナマ魔術”。ボールを動かした50センチほどの差が劇的なプレーの予兆に感じた。

 10秒後。ロナウジーニョの右足から放たれたボールは、クロスを予測して前めにポジションを取っていたイングランドGKシーマンの頭上を越え、直接ゴールに吸い込まれた。

 ロナウジーニョは後半12分にラフプレーでレッドカードを受け、退場。ブラジルは10人の戦いを強いられたが、結局、ロナウジーニョのFKが決勝点となり、ブラジルが2―1で逆転勝利を飾った。

 ブラジルは準決勝ではトルコに1―0で勝利。決勝ではドイツのGKカーンからFWロナウドが2ゴールを奪い、2―0で快勝。5度目の優勝を果たした。

 8ゴールを挙げて得点王に輝いたロナウドをはじめ、ブラジルにはタレントがそろっていた。その中でも、当時22歳のロナウジーニョが、W杯という大舞台で常に楽しそうにプレーしていた姿が思い出深い。(竹内 達朗)

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