待ちに待ったプロ野球開幕…文化放送ライオンズナイターが追求する「野球の音」の魅力

西武の主砲・山川穂高の本塁打後の「どすこーい!」もライオンズナイターの臨場感たっぷりの音声でリスナーに届けられる
西武の主砲・山川穂高の本塁打後の「どすこーい!」もライオンズナイターの臨場感たっぷりの音声でリスナーに届けられる
7日の練習試合後、アクリル板越しに取材を受ける西武・辻発彦監督。ウィズコロナ時代の新しい形の野球中継が始まる
7日の練習試合後、アクリル板越しに取材を受ける西武・辻発彦監督。ウィズコロナ時代の新しい形の野球中継が始まる

 こんなにも文化放送はプロ野球の開幕を待っていた―。

 16日、東京・浜松町の文化放送で開かれた上口宏社長の定例会見。席上、39年の伝統を誇る「文化放送ライオンズナイター」が19日のプロ野球開幕戦から放送されることが発表された。今季のテーマは「吼えろ!ライオンズ 叫べ!文化放送ライオンズナイター」。9月25日までは午後5時55分から9時までの放送(最大延長9時50分)、10月改編スタート後もペナントレース終盤までライオンズを追いかけ続ける形となる。

 この日、衣笠聖也編成部長は「長い間、開幕を待っておりましたが、やっと放送開始することになりました」と感慨深げに話し始めると、「通常、ナイターの編成は4月から9月としていましたが、プロ野球の日程が11月上旬まで組まれていることもあり、10月末までの1か月間、ナイター編成を延ばします」とした上で、キャッチフレーズを文化放送=JOQRにちなんだ「野“Q”音」とした。

 この言葉について、「当初は無観客試合となっておりますので、技術スタッフが様々な技術を駆使して、打球の音、ボールがグラブに入る音、選手の声など様々なスタジアムの音をリスナーに届けられるような放送をしたいと思います」と説明した衣笠氏。

 同局の技術スタッフは今季の野球中継で「バイノーラル」と呼ばれる録音技術を導入。人の鼓膜に近いところにマイクを配置。前から後ろから録音することで立体感のある「音の3D体験」を可能とする録音法に挑む形だ。

 「無観客は残念ですが、だからこそ、リスナーに様々な『野球の音』をお届けしたいと思います。イヤホン、ヘッドホンで聞いていただくと、まるで球場にいるような、より臨場感が高まる放送をしたい」―。そう熱く決意表明した衣笠氏の表情に待ちに待ったナイター中継への熱い思いを感じ取ったから聞いてみた。

 「日程が不透明だった今季の放送にこぎつけるまでには編成面など様々な苦労があったのでは?」―。

 マイクを握った衣笠氏は「当初は通常通り3月20日開幕で野球の編成をするつもりでいました。しかし、開幕しなかった。もちろん、開幕したら、すぐに放送する形で対応しようとしていましたが、(開幕延期で)その間(の放送を)どうするかはかなり議論をしました。苦肉の策として、音楽番組などを編成しましたが、4月の後半にはプロ野球ファンの間には、いつまでたっても野球を聴けないというプロ野球中継への渇望感があると思いました。そこで(放送対象が)ライオンズなので、松坂大輔投手のデビュー戦をほぼ完全な形で実況中継するなどしました」と、開幕にこぎ着けるまでの舞台裏の苦労を明かした。

 危惧する点が一つ。最先端の録音スタッフを投入するにあたっての新型コロナ対策がどうしても気になったので聞いた。「どのような感染症対策のもと、最先端の録音に臨むのか?」―

 「球団によって違うのですが…。グラウンドレベルまで取材者が入らないようにという制限がある球団ならば、その指示に従うし、中継スタッフの数も球団によっては制限がある。あくまでも主催球団の対応に従って放送します」と答えた衣笠氏。

 さらに「昨年までの中継とコロナ対策をした上での中継では放送自体、変わってきますか?」と聞くと、「実況中継自体はラジオの場合、もともと少人数でやっています。実況アナウンサーと解説者の方という形の野球中継そのものは変わらない。ただ、(今季は)大歓声の音もトランペットの音もない。臨場感という点ではそうした音こそないけど、無観客であっても様々な『野球の音』をお届けすることで、臨場感(の無さ)という部分を補っていきたいと考えています」と決意表明してくれた。

 ここで、上口社長もおもむろにマイクを持つと、「スポーツ(中継)の効用の大きな部分と言うのは、その場にいて共感しつつ、スカッとしたいという気持ちだと思います。(コロナの影響で)それを表現する場がないというのは、人の気持ちが大きくよどんでしまう原因になっていると思います。そうした意味で、プロ野球の実況中継をリスナーにお届けすることで、スカッとして欲しいと思います」と熱く語った。

 さすがは、1982年4月5日に放送スタート。今年で39年目を迎えた「ライオンズナイター」への愛があふれた首脳陣の言葉の数々は熱かった。私自身、開幕直前に行われた無観客での練習試合を視聴。大観衆が詰めかけたスタジアムでは決して聞こえなかった打球のスタンドへの着弾音、打った瞬間のベンチの選手たちの「ウォー」という絶叫と言った今まで耳にしてこなかった、いや、耳にすることができなかった数々の音に新鮮な驚きを覚えた。

 無観客がなんだ。ついでに世間でささやかれる野球離れがなんだ。

 シーンと静まりかえったスタジアムに響き渡る乾いた打球音に捕球音、そして選手たちの雄叫び―。野球中継の老舗・文化放送は最先端の録音技術でどんな「野球の音」を届けてくれるのか。

 西武は19日午後6時、日本ハムとの開幕戦を本拠地・メットライフドームで迎える。文化放送も午後5時55分から生中継スタート。ついに始まる3か月遅れの開幕戦が、まったく新しい野球中継の幕開けとなる予感がする。はっきりと、くっきりと。(記者コラム・中村 健吾)

西武の主砲・山川穂高の本塁打後の「どすこーい!」もライオンズナイターの臨場感たっぷりの音声でリスナーに届けられる
7日の練習試合後、アクリル板越しに取材を受ける西武・辻発彦監督。ウィズコロナ時代の新しい形の野球中継が始まる
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