空手・植草歩を支えたメンタルコーチ…鈴木颯人氏の教え「科学的に笑顔は強さ」

スポーツ報知
17年に沖縄での国際大会で金メダル獲得後、記念撮影した植草(左)と鈴木氏(鈴木氏提供)

 東京五輪で新種目となった空手の女子組手61キロ超級代表で、16年世界選手権覇者の植草歩(27)=JAL=を支える2人のコーチがいる。帝京大時代に授業に“乱入”し、自ら猛アプローチを仕掛けた相手は、同大学スポーツ医科学センター助教でラグビー部フィジカルコーチの加藤慶氏(42)だった。メンタルコーチは鈴木颯人氏(36)。植草は信頼を置く仲間と、金メダルへの「心と体の進化」を続けている。(取材・構成=高木 恵)

 鈴木氏の元を植草が初めて訪れたのは、2013年11月だった。関東学生体重別選手権で敗れ、気持ちを立て直すことに苦労していた植草から、SNSでダイレクトメッセージが届いた。「もっとメンタルという部分を科学的に学びたいという話だった。基本、植草さんが、こうしていきたいということに、私が科学的に後付けしているようなイメージです」

 鈴木氏が心がけるのは「選手が持っている、いいものを引き出す」こと。植草の魅力の一つ「笑顔」には、自律神経のバランスを整える効果があることを科学的に説明した。「ファンから愛される選手は長く続けられるし、すごくいい選手になっていくと思うよ」とも語りかけてきた。

 植草は「感情の操作の仕方や、言葉遣いの大切さを教えてもらった。『脳科学ではこうなんだよ』って言われると『科学的にそうなら、こうしたらいい』っていうのが自分の中でマッチした」と信頼を口にする。鈴木氏もまた、植草の成長を感じている。「空手界のために、ファンのために、周りの人のために、という気持ちが芽生えてきたのが印象的。それが原動力になるから頑張れるというのは、プロアスリート」

 月に一度のコーチングは1時間。植草が感じていること、言いたいことに耳を傾けながら精神のバランスを整えていく。世界一になって以降、マークはきつくなり、五輪選考レースが行われた昨年は苦戦が続いた。「五輪に出て当たり前という期待を受けながら内定をもらうことは大変なこと。本人も自信になったはず。必要な経験だと私は思っていたので、特に心配はしていなかった」。そこにも不動の信頼関係があった。

 いち早くSNSで情報を発信し、空手の発展に努めてきた植草は、多くのファンに愛される存在になった。鈴木氏の望みは植草が豊かな人生を送ること。「結果にふさわしい人、結果にふさわしいメンタル、結果にふさわしい人間性。そこさえしっかりとしていたら、結果は自然とついてくると思うんです」。1年後の夢舞台へ、優しく寄り添い続ける。

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