藤井聡太七段、17歳10か月最年少タイトル挑戦 異例のスーツ姿で渡辺明棋聖に先勝

晴れ晴れとした表情で対局後の会見に臨む藤井聡太七段(カメラ・橘田 あかり)
晴れ晴れとした表情で対局後の会見に臨む藤井聡太七段(カメラ・橘田 あかり)
スーツ姿で対局に臨む藤井七段(右)と、和服で迎え撃つ渡辺明棋聖
スーツ姿で対局に臨む藤井七段(右)と、和服で迎え撃つ渡辺明棋聖
タイトル初挑戦の年少記録10傑
タイトル初挑戦の年少記録10傑

 まずは1勝―。先手の挑戦者・藤井聡太七段(17)が157手で渡辺明棋聖(36)=棋王、王将=に先勝した。17歳10か月20日で、史上最年少でのタイトル戦デビューとなった藤井は、通例の和服ではなくスーツ姿で登場。現役最強棋士との11時間の大激闘を制し、史上最年少タイトルに向けて大きな1勝を挙げた。タイトル獲得まで残り2勝となり、一気の王手を目指す第2局は今月28日に同所で行われる。

 激闘の熱気に支配された特別対局室の中心で、藤井だけ涼しげだった。いつものように、伏した目を閉じながらささやく。「途中から苦しくしてしまったので、勝負勝負と行ったのが良かったのかなと思います」。勝つか負けるか。覚悟と勇気で打って出て、タイトル戦初勝利を飾ってみせた。

 大一番こそ名局。17歳の真骨頂はタイトル戦でも不変だった。振り駒で先手を引くと、最も得意とする戦型「角換わり」ではなく、渡辺が豊富な経験値を持つ「矢倉」を選択した。「角換わりも考えていましたけど、矢倉で行こうかなあと」。あえて相手の土俵に上がった理由を、何とも軽やかに振り返った。

 史上最年少タイトル挑戦者と現役最強MVP棋士による頂上決戦。開幕局から両者による現代将棋の至芸が展開された。形勢の針は最終盤まで全く動かない。藤井は最高水準の将棋AIが示す最善手を指し続ける。終盤で1手だけ悪手を指して劣勢になった渡辺は一分将棋に突入後、16連続王手で重圧をかけたが、藤井は全て読み切っていた。「終盤は際どい展開になり、充実感がありました。一つ勝つことができてホッとしたところはありますけど、先は長いので」。17歳10か月20日でのタイトル戦史上最年少勝利。最年少と名の付くものは片っ端からさらう宿命を持っている。

 対局前から驚かせた。タイトル戦では和服を着用するのが慣例だが、初登場の藤井はあえてスーツを選択した。和服は着手の際に駒に触れないよう袖を押さえるなど普段とは異なる所作を要し、対局中に着崩れるリスクもある。挑戦権獲得から中3日と準備期間が短かったこともあり、慣れ親しんだオーダーメイドのネイビースーツを選んだ。「4日の挑決(挑戦者決定戦)で勝った時、第1局はスーツでと思っていました。師匠(杉本昌隆八段)にも相談して和服は第2局以降にします」

 男性棋戦のタイトル戦で対局者が和服を着用しないのは1997年度の王座戦で島朗八段が羽生善治王座(いずれも当時)に挑んだ際以来23年ぶりとみられる。大舞台で和服を着る名誉より、いかにしてベストパフォーマンスを発揮するかを冷静に考えた。

 感想戦後の会見。現れた藤井の足元は和服用の草履では当然なく、スーツ用の革靴…でもなく、デビュー2年目から履いているフランスのブランド「パトリック」の黒スニーカーだった。スーツに合わせた運動靴だけは、藤井がまだ高校生であることを語っていた。(北野 新太)

 ◆屋敷伸之九段が90年に18歳6か月で初タイトル

 開幕局の勝利は、番勝負において1勝以上の意味を持つ。当然、5番勝負は7番勝負より価値は大きくなる。1962年度に始まった棋聖戦5番勝負の歴史では、過去90期のうち62回は第1局に先勝した側が防衛、あるいは奪取している。タイトル獲得率は.689に達する。

 棋聖戦は若武者が時の覇者に挑んで初タイトルを奪う構図が度々生じてきた棋戦でもある。1967年度後期には故・山田道美九段が故・大山康晴十五世名人を相手に初タイトルを奪取。90年度前期には屋敷伸之九段が中原誠十六世名人を下し、18歳6か月という史上最年少タイトル獲得記録を樹立した。将棋史の節目を刻む今シリーズ。結末に注目が集まる(肩書はいずれも現在)。

 ◆藤井 聡太(ふじい・そうた)2002年7月19日、愛知県瀬戸市生まれ。17歳。杉本昌隆八段門下。5歳で将棋を始める。12年、奨励会入会。16年、史上最年少の14歳2か月で四段(棋士)昇段。17年、デビューから無敗のまま史上最多29連勝を記録。詰将棋を得意とし、圧倒的な終盤力を誇る。19年、朝日杯連覇。名古屋大教育学部付属高3年在学中。鉄道や地理、世界情勢に詳しい。

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