昔の野球映画から今のメジャーを思う。労使の対立はさらなる野球人気低下を招きかねない

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 テレワークで自宅にいる間、2巻計20本もある野球映画コレクション(DVD)を少しずつ鑑賞している。いずれも1950年代前半までのモノクロ時代の代物だが、2130試合連続出場したルー・ゲーリッグを扱ったゲーリー・クーパー主演の「打撃王」を始め「春の珍事」「甦る熱球」「私を野球に連れてって」「ベーブ・ルース物語」と日本でも知られる作品。また、メジャー昇格4年目で本人が主役を演じた「ジャッキー・ロビンソン物語」なども入っているが、大半は聞いたこともない作品が多かった。それでも当時の球界の事情を知る上で大変参考になった。中でも、当時は年俸の安かった選手たちに、ギャングが八百長を仕掛ける映画がうち2本もあったのは当時の選手への扱いの低さが感じられた。

 こんなDVDを見る余裕が出来たのも、米大リーグと同選手会の年俸に関しての対立が続いて、今季の開幕も危ぶまれている状況が続いているからだ。

 1994年8月から翌年4月にかけての米大リーグの232日間の選手会ストライキは、米国のベースボールに大きな傷跡を残した。端的に表れたのが観客動員。1994年の1試合平均は夏場時点までだが3万1256人だったのが、1995年は20%減の2万5021人に、その後各球団の新球場ラッシュなどで挽回。1試合平均で3万人台に戻すのは2004年と10年かかった。その後2007年には3万2696人まで伸ばしたが、近年は毎年のように下がり昨年は2万8198人と1997年以来の数字に落ちている。

 もう一つ、ストライキでの長期中断は、ナショナルスポーツの地位を自ら引きずり落とす形となってワールドシリーズ(WS)の全米テレビ視聴率は大幅にダウン。WSは1980年のフィリーズ・ロイヤルズ戦では6試合での平均が32・8%を記録。1992年まではコンスタントに20%を越えていたが、ストライキ後は2年ぶりとなった1995年こそブレーブス・インディアンスのカードで19・5%を記録したもののその後は低迷し、2008年フィリーズ・レイズ戦では初めて一桁台になるなど苦戦が続き、昨年第7戦までもつれこんだナショナルズ・アストロズの戦いもわずか8・1%だった。

 かつて米国ではNFLのスーパーボウルと並ぶ全米を巻き込んだイベントだった秋の古典劇は、今では出場している都市同士だけが注目する(都市間の視聴率もダウンしているが)イベントと化したのも野球人気低下の証明である。

 バスケットボールのNBAやアイスホッケーのNHLは協定によって収益不足や不可抗力の事態となった場合の給与の調整が出来る規定がある。それがないMLBだけが労使の対立が表面化しており、これがまたより一層の野球離れにつながる可能性は少なくない。

 ともに妥協点を見つけて、試合を行うことがファンのためになるのだと思うが、どうだろうか。

 蛭間 豊章(ベースボール・アナリスト)

 

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