花巻東、雄星・大谷杯で「夏一笑」 甲子園の夢絶たれた3年生へ贈りもの…OB40人と壮行試合 

花巻東の現役メンバー、指導者らは集まった約40人のOBと記念撮影を行った(カメラ・長井 毅)
花巻東の現役メンバー、指導者らは集まった約40人のOBと記念撮影を行った(カメラ・長井 毅)
MVPの「大谷賞」をゲットした水沢駒形野球倶楽部・横倉は09年に菊池と夏の4強入りを経験した
MVPの「大谷賞」をゲットした水沢駒形野球倶楽部・横倉は09年に菊池と夏の4強入りを経験した

◆花巻東OB交流戦 現役6―1OB(7日・岩手県営)

 代替大会が予定されている岩手では夏の地方大会2連覇中の花巻東が7日、OBとの交流戦(岩手県営)を行った。新型コロナ禍で夏の甲子園が中止となり、3年生を元気づけるための“壮行試合”を開催。同校OBのマリナーズ・菊池雄星投手とエンゼルス・大谷翔平投手が“参戦”し、活躍した選手への景品や、球児たちにドリンクを用意するなど試合を盛り上げた。夢を絶たれた3年生への、せめてもの贈り物となった。

 甲子園への道が閉ざされた3年生たちに向けて、花巻東のOB交流戦を少しでも盛り上げようと、先輩たちが一肌脱いだ。大谷が自身がモデルとなったTシャツなどのグッズを「MVP賞」として、菊池も同様のグッズを「菊池賞」として提供。試合前に景品の存在が発表されると、スタンドにいた観客やアルプスの保護者らからは大きな拍手が湧き起こった。佐々木洋監督(44)は「2人に景品を出してもらえないかと打診したら、快く賛同してくれた。選手たちにはドリンクも用意してくれました」と、頭を下げた。

 甲子園を経験し、社会人野球や強豪大学でプレーを続ける現役選手をはじめ、約40人のOBが「後輩のために何か力になりたい」と集結した。本来ならば甲子園に向けた戦いが始まる直前だが、コロナ禍により、3年生は目の前の目標を見失ってしまった。指揮官は「野球をやっている者にとって一番大きな大会は甲子園。今年は甲子園につながる大会が中止になって、3年生も練習に気持ちが入らなかったりした。刺激になることができないかと考えて連絡をしたら、たくさんOBが集まってくれた」と交流戦の開催意義を説明し、「OBをこれだけ集めたのは初めてのこと。うるっとした時もありました」と、時おり言葉を詰まらせて感謝した。代替大会の前にはベンチ入りから外れた3年生に対し、佐々木監督による毎年恒例「最後のノック」も予定されている。

 試合は4回までは両軍無得点のしびれる展開となった。5回に後攻のOBチームが先取点を挙げると、3年生チームが6回に2点を奪い逆転に成功。3時間近くに及んだ熱戦は6―1で3年生チームが勝利した。MVPの景品は感謝の思いも込めて、佐々木監督はOBチームの選手に贈った。

 高校通算30発の強打でプロ注目の水谷公省内野手が決勝打。代替大会に向けて「一昨年、昨年と先輩たちが続けてきた連勝を途絶えさせてはいけない」と誓えば、清川大雅主将も「先輩たちの連覇を止めるわけにはいかない。県3連覇で終わりたい」と共鳴した。偉大なレジェンドたちにパワーをもらったナインたちが最後の大会で大暴れする。(長井 毅)

 ◆花巻東の「最後のノック」 例年、夏の大会でベンチ入りを果たせなかった3年生が、引退試合後に佐々木監督からノックを受ける“儀式”。夏の大会までに故障から回復できなかったり、途中からレギュラーを支える練習補助にまわったりと、さまざまな事情でベンチ入りができなかった選手が、周囲に対する感謝の思いや自身の夢などを叫んでから、野球部生活最後のノックに臨む。感動的な行事として、高校野球ファンの間では広く知られている。

  • 甲子園出場を逃し、涙を拭う花巻東のエース・大谷翔平
  • 甲子園出場を逃し、涙を拭う花巻東のエース・大谷翔平

 ◆大谷翔平の花巻東3年夏 3回戦の水沢工戦で救援登板し最速156キロをマーク。順調に滑り出した。準々決勝の盛岡四戦も救援登板。準決勝の一関学院戦では先発し、高校生で初めて160キロを記録。決勝の盛岡大付戦にも先発し、156キロをマークしたが、3―5で敗戦。甲子園出場はならなかった。

  • 準決勝で敗れた花巻東・菊池雄星がチームメートと抱き合い号泣
  • 準決勝で敗れた花巻東・菊池雄星がチームメートと抱き合い号泣

 ◆菊池雄星の花巻東3年夏 岩手大会を勝ち抜き、甲子園出場を決めた。3回戦の東北戦で自己最速の155キロをマーク。しかし、準々決勝の明豊戦で背中の痛みを訴えて途中降板。準決勝の中京大中京戦には救援登板した。本調子にはほど遠く、この試合の最速は139キロ。チームは1―11で敗れて、決勝進出はならなかった。

  • 球審を務めた国際審判員の田口直良さん
  • 球審を務めた国際審判員の田口直良さん

 この日の交流戦の球審はOBで国際審判員の田口直良さん(43)が務めた。6日に佐々木監督からオファーを受けたが、「選手たちに最高の思い出を演出してあげるためにサポートがしたかった」と、すぐさまスケジュールを変更しグラウンドに立った。見逃し三振のジャッジの際には右手を後ろに大きく引く、迫力感あふれるポーズを披露。後輩たちのプレーを陰で支えた。

花巻東の現役メンバー、指導者らは集まった約40人のOBと記念撮影を行った(カメラ・長井 毅)
MVPの「大谷賞」をゲットした水沢駒形野球倶楽部・横倉は09年に菊池と夏の4強入りを経験した
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球審を務めた国際審判員の田口直良さん
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