横田滋さん役演じた原田大二郎、拉致問題進展へ「ムーブメントを起こしたい」

2月の記者会見で横田滋さんとの思い出を語った原田大二郎
2月の記者会見で横田滋さんとの思い出を語った原田大二郎

 北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(拉致当時13歳)の父・横田滋さん(享年87)が老衰で死去してから一夜明けた6日、関係者は悲しみに暮れた。拉致事件を題材にした映画「めぐみへの誓い」(野伏翔監督、7月完成予定)で滋さん役を演じた俳優の原田大二郎(76)はスポーツ報知の電話取材に「思いやりの塊のような人」と評し、拉致問題の進展に向けて「映画がレクイエムになりますね。これをきっかけにムーブメントを起こしたい」と力を込めた。

 めぐみさんの拉致事件から43年。愛する娘との再会を願い続けた滋さんの悲報を受け、原田は「ついに来たか、という感じですね。ある意味、覚悟はしていましたが、悔しいです。めぐみさんを返してあげたかった」と声を震わせた。

 2012年、舞台版「めぐみへの誓い」の稽古場を訪れた滋さんの姿が脳裏に焼き付いている。「車から降りて、足が地面に着いて大地を踏みしめた瞬間が忘れられない。めぐみさんを失ってから歩んできた歴史、足跡、時間の集積をずっしりと感じた」。その様子から「めぐみを返してくれ!」という魂の叫びを感じ、「涙が止まらなくなった。そして僕は滋さんになれた。それ以来、演じる時に迷うことはなかった」と語る。

 舞台公演後、花束を持って楽屋にやってきた滋さんに「(自分に)そっくりでした」と声をかけられた。「お釈迦様みたいな、思いやりの塊のような人。決して我を出さない。ものすごい怒りを抱えているのに、それを全く表に出さない。優しくて謙譲で謙虚で日本人の鑑(かがみ)のような人ですね」と人柄をしのんだ。

 拉致被害者家族会の初代代表を務めた滋さん。原田は「滋さんがいなかったら、家族会もこれほど大きなものにはならなかったと思う。我を出しすぎていたら、途中で空中分解したかもしれません」と思いを巡らせる。「強硬な人がいてもいいんです。でも、それを滋さんが包み込んで、まとめてきた。滋さんは強硬な人の言い分もしっかり理解している人だった」と振り返った。

 滋さんが救出活動を始めた頃を思い返し、「『北朝鮮が拉致なんてやるわけがない』という強い意見があった。それが覆され、めぐみさん以外にも800人以上の特定失踪者がいる。理不尽に自由が奪われるなんて、こんな残酷なことはない。それを多くの日本人が認識することが大事」と力説。「この映画をきっかけに『被害者を返せ!』というムーブメントを起こしたい。それが僕の務め」と天国の滋さんに拉致問題の進展を誓った。

 ◆原田 大二郎(はらだ・だいじろう)1944年4月5日、横浜市生まれ。76歳。2歳から山口県に移住。67年明大法学部卒。劇団文学座を経て70年映画「裸の十九才」でデビュー。74年NHK大河ドラマ「勝海舟」、75年TBS系ドラマ「Gメン’75」で注目され、映画「蒲田行進曲」(82年)、「敦煌」(88年)などに出演。身長179センチ。血液型O。

 ◆めぐみへの誓い 2010年から全国で上演された舞台を映画化。1977年11月15日、当時13歳の中学1年生・横田めぐみさんが北朝鮮の工作員によって拉致された。この事件を拉致被害者や脱北者の証言に基づいて描く。中学時代のめぐみさんを坂上梨々愛、青年期のめぐみさんを菜月、めぐみさんの父・滋さんを原田、母・早紀江さんを石村とも子が演じる。大鶴義丹、仁支川峰子、小松政夫、安座間美優、小林麗菜らも出演。クラウドファンディングで製作費を募り、3600人から4859万9211円の支援金が寄せられた。7月に支援者向けの上映会を予定している。

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