将棋の高校生棋士・藤井聡太七段(17)が4日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた第91期棋聖戦挑戦者決定戦・永瀬拓矢2冠(27)=叡王、王座=に後手で勝ち、渡辺明棋聖(36)=棋王、王将=への挑戦権を獲得した。タイトル挑戦の最年少記録を31年ぶりに更新する偉業を成し遂げた。
従来の記録は屋敷伸之現九段(48)が1989年度の第55期棋聖戦で中原誠棋聖(当時)に挑戦した時の17歳10か月24日。藤井七段は8日の5番勝負第1局の時点で17歳10か月20日のため、従来の記録を4日更新する。
大一番の相手となった永瀬2冠は現在の将棋界を代表する実力者。将棋に対するストイックな姿勢から「軍曹」の異名があり、藤井七段とは定期的に練習将棋を指す間柄だが、公式戦では本局が初手合だった。
振り駒で先手を握った永瀬2冠は深い事前研究の跡がうかがえる指し回しを見せ、藤井七段は持ち時間を投入せざるを得ない展開に陥ったが、冷静な読みを貫いて勝利をさらった。
デビューから3年半の月日をかけて辿り着いた大舞台。5番勝負では、羽生善治九段(49)らと平成後期から棋界の頂点に君臨し続ける渡辺棋聖に挑む。
最強棋士に立ち向かうことになるが、昨年2月の唯一の直接対決は藤井七段が制している。挑戦に続き最年少タイトル奪取を目指す天才少年の勝負はさらに注目を集めそうだ。
局後の一問一答は以下の通り。
―本局を振り返って
「激しい展開だったんですけど、攻め込まれて自信のない展開になってしまったのかなと思います」
―タイトル初挑戦になる。
「挑戦することができてうれしく思います。5番勝負がすぐ開幕するので、しっかり準備したいと思います」
―最年少記録を更新した。
「自分としては意識してなかったですけど、結果的にそういう形になってよかったです」
―獲得の最年少記録も懸かる。
「相手は渡辺3冠で充実されている方が相手ですけど、1勝でも多く勝てるように頑張りたいと思います」