【東京五輪 社会学】「観客入れての開催厳しい」「選手2か月前から来日させ隔離し検査を」昭和大の二木芳人客員教授が指摘

スポーツ報知
東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムになる国立競技場

 新型コロナウイルスの感染拡大により、史上初の延期となった東京五輪・パラリンピック。5月には国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が、「来夏に開催できなければ中止」と語ったことが伝えられた。大会開催に踏み切る場合、専門家は「観客を入れての開催は厳しい」との見方を示す。感染リスクが高い競技として7人制ラグビーやサッカーなどを挙げ、選手を開幕2か月前から来日させ隔離し、検査を行うなど、“異例の感染症対策”を講じる必要性を指摘した。(久保阿礼、奥津友希乃)

 世界レベルでのウイルス収束への見通しが立たない中、東京五輪・パラの開催への“黄信号”はいまだともったままだ。

 日本国内では、5月25日に全国で緊急事態宣言が解除され、プロ野球やJリーグなど大規模スポーツイベントが、無観客で今月中旬以降に再開となる。ただ、昭和大病院感染症内科の二木芳人客員教授は、「現状、国内では落ち着いてきていますが、秋から冬にかけて第2波、第3波が来ることが予想されます」と指摘する。

 安倍晋三首相は東京五輪について、5月28日の新型コロナに関連した国連のオンライン会合で、「人類が感染症に打ち勝った証しとして、完全な形で開催する決意だ」と、あくまで“客入れ”しての開催を強調した。

 五輪・パラでは、206の国と地域から1万人以上の選手が参加を予定し、世界各地から観客が訪れる。二木氏は「来年も今年と同じような感染状況だと仮定すると、観客を入れて完全な形で開催するというのは厳しいと言わざるを得ません」と、難色を示した。

 “完全な形”ではなくとも、大会開催へ踏み切る場合、一律に感染防止対策を行うのではなく、競技ごとの特性を踏まえた対策を講じることが必須だ。二木氏は、「屋内、大人数、対戦形式、接触があるスポーツは感染リスクが上がる」と指摘。感染リスクの高い競技として、7人制ラグビーやバスケットボールなど4競技を挙げた。

 米オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は5月上旬、国内スポーツイベントを計画する上での指針で、3段階で感染リスクの高い競技を公表。最も高リスクの「レベル1」では、「競技者間で密接で持続的な接触がある」などの理由から、二木氏と同様にラグビーを挙げたほか、五輪実施競技ではレスリングや柔道なども高リスクと判断している。

 二木氏は、開催にあたり「選手や大会関係者に開幕の2か月前から来日してもらい、検査して隔離して、競技会場でも予防を徹底する必要がある」と、“異例の方策”を示した。有効なワクチンや治療薬の完成がいつになるのかなど不確定要素が多く、逆風に見舞われる東京五輪。五輪史上前例のない“感染症対策”を実現できるかどうかも、開催可否判断のカギとなりそうだ。

 ◆ワクチン開発なされなければ流行22年まで…米国立衛生研究所・峰宗太郎氏(病理専門医)

 東京五輪開催についての長期予測はとても難しいといえます。ワクチン開発がなされなければ、現在の流行は2022年まで続くであろうとの予測を示した論文も出ています。

 また、「3つの密」などに代表される感染の起こりやすい場所が発生する、という予防の観点だけでなく、多数の国や地域から参加者や観戦者がやってくることによる、流行の再拡大などの懸念が当然つきまとうことになると思います。

 ワクチンの開発が素早く行われるか、抗体検査等の検査が非常に進めば状況は変わる可能性があるとは考えます。現状では長期的な予測は困難であるものの、なかなか明るい見通しも立てにくいと捉えています。

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