【メディカルNOW】狂犬病が14年ぶり国内発症…「清浄国」日本にも侵入の恐れ

 先週、愛知県豊橋市が市内の医療機関に入院しているフィリピン人が狂犬病を発症したと発表した。この患者は今年2月に来日したが、昨年9月頃フィリピンで左足を犬に咬(か)まれたと話していることから、フィリピンで感染したとみられる。

 狂犬病は、狂犬病ウイルスを保有している動物に咬まれると感染し、通常は1~3か月後、長ければ1~2年後に発症する。今回のケースは8か月後に発症した。症状は強い不安感と一時的な錯乱、水を見ると首の筋肉がけいれん(恐水症)、冷たい風でもけいれん(恐風症)、高熱、まひなど。治療法はなく、発症したらほぼ100%死亡する。

 しかし、犬などに咬まれて感染しても、発症する前にワクチンを5~6回接種すれば発症を予防できる。また、狂犬病が人から人に感染することは通常ない。

 日本国内でも以前は狂犬病被害があったが、1950年に狂犬病予防法が施行され、飼い犬の登録・ワクチン接種、野犬の駆除によって58年以降は発生していない。ただ、輸入症例はある。▼70年、ネパールを旅行中の日本人旅行者が現地で犬に咬まれ、帰国後に発症・死亡▼2006年、京都市の男性がフィリピン滞在中に犬に咬まれて帰国後に発症・死亡▼同年、横浜市の男性がフィリピン滞在中に犬に咬まれ帰国後に発症・死亡。今回はそれ以来14年ぶりだ。

 日本は、英国・オーストラリア・ニュージーランドなどと並び11か国の「狂犬病清浄国」だ。しかし、狂犬病ワクチン接種は444万頭(厚生労働省)、犬の飼育頭数は890万頭(ペットフード協会)なので狂犬病ワクチン接種率は約50%(18年)。ペットも国境を越えて移動する時代だ。狂犬病が国内に再侵入する恐れがある。(医療ジャーナリスト・田中 皓)

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