久保建英、毎試合覚悟「いつ最後になるか分からない」プレーだけじゃない言葉も一流…記者が見ていた

昨年6月29日、降りしきる雨の中、壮行セレモニーであいさつするF東京・久保建英
昨年6月29日、降りしきる雨の中、壮行セレモニーであいさつするF東京・久保建英
18年3月14日、ルヴァン杯で初ゴール
18年3月14日、ルヴァン杯で初ゴール

 これほどわくわくする選手は初めてだった。19年3月からF東京担当になり、久保建英に出会った。4月、ルヴァン杯・鳥栖戦で決めた秩父宮での日本人初ゴール、海外移籍前、最後の試合となった6月のホーム大分戦での2発…。急激な成長曲線を間近で見て、改めてサッカーの繊細な部分や面白さを感じた。

 プレーだけではなく、選ぶ言葉にも引き込まれた。例えば「相手はここ数試合勝てていませんが…」との質問に対し、予測される答えは「力はあるし、油断は出来ない」だろうか。だが、久保は「相手の調子が悪いのはこの上ない非常にポジティブな要素。悪いことを願いつつ、自分の力を出したい」と返答。「戦術にオプションがある方が有利か」との質問には「いや、ファストブレイク(F東京の持ち味・速攻)だけで片付けられるなら、むしろ強みを出せているということ」だった。どこか強気で“ど直球”な世界観があった。

 そんな久保が口にした印象的な言葉がある。4月26日、小平グラウンドでの練習後。期待されながら、リーグ出場7試合で無得点の時期だった。「けがをするかもしれないし、いろんな不確定要素がある。いつが最後になるか分からない。今までもそういう気持ちでプレーしてきたし、毎試合、そういう気持ちでやりたい」。これからという選手が、こんなふうに思っているのか。幼少期から常に注目されてきた久保の言葉だからこそ、サッカー人生への覚悟をより強く感じた。

 2019年6月29日。味の素スタジアムでのF東京―横浜M戦後、Rマドリードに移籍する久保の壮行セレモニーが行われた。この日は、女子W杯フランス大会の取材から帰国した翌日。長期出張を終え、上司からは休日を取るように勧められていた。だが、“番記者”としての最後の日。どうしても行きたい、と伝えた。

 スマートフォンには「自分の決断に誇りを持っている」と真っすぐに話した久保のスピーチから、スタジアムにほとんど誰もいなくなるまでの約21分の声や音が残っている。たまに再生すると思い出す。取材や日々、出会う人と『いつが最後になるか分からない』と思いながら、向き合っていこうという気持ちを。(小又 風花)

 ◆19年の久保 横浜Mへの約半年間のレンタル移籍を経てF東京に復帰し、開幕スタメンを勝ち取った。5月12日の磐田戦、19日の札幌戦でJ1自身初の2戦連発。6月1日の大分戦では初の1試合2得点を決めた。6月の国際親善試合で日本代表に初選出され、9日のエルサルバドル戦(宮城)でA代表デビュー。直後の南米選手権(ブラジル)にも参加した。6月14日にはRマドリード完全移籍が発表され、8月23日にはマジョルカへ1年の期限付き移籍が決定した。9月1日のバレンシア戦で途中出場し、日本人最年少18歳2か月28日で欧州4大リーグデビュー。11月10日のビリャレアル戦で初得点し、日本人の欧州4大リーグ最年少得点記録(18歳5か月6日)を樹立した。

 ◆小又 風花(こまた・ふうか)1995年1月5日、東京都生まれ。25歳。2017年に入社し、同年10月からサッカー担当。今季はF東京、柏、なでしこジャパンを担当。

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