【箱根への道】東大OB・近藤秀一、母校強化プラン「あと数年したら部員が受験生を指導し合格させる方法が主流に」

19年の箱根駅伝で関東学生連合の1区を走った近藤秀一
19年の箱根駅伝で関東学生連合の1区を走った近藤秀一

 東大時代に関東学生連合の1区として箱根駅伝に出場したGMOインターネットグループ(以下GMO)所属の近藤秀一(24)がツイッターなどを通じて、東大で箱根駅伝出場を目指す“未来の後輩”らにアドバイスを送っている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で世界中が苦境に立たされている中、多くの困難を乗り越えてきた頑強な秀才ランナーによる新たな取り組みだ。近藤は、スポーツ報知の電話取材に応じ、オンラインによる選手勧誘の可能性や今の思いなどを明かした。

 GMOで実業団選手として走り、同時に東大大学院で学ぶ近藤ならではの“つぶやき”だった。

 「【東大(理系)を目指している受験生へ】・どの問題集をどの程度解ければ良いのか・模試でどのくらい取れればいいのか・僕自身の体験談など今の期間であればオンラインやチャットで話すことができます。希望する方がいればDM(ダイレクトメッセージ)で連絡ください」

 「高校や塾に通えない受験生のモチベーションを少しでも保ってあげたい」

 「母校を目指す人はシンプルに応援したい」

 新型コロナウイルス感染拡大が続いていた4月24日、近藤は自身のツイッターに立て続けに投稿。授業や部活動が制限されている“未来の後輩”に呼びかけた。

 その上で「直接出向いたり文書を送るのが勧誘のメジャーな方法だったけど、あと数年したら部員が受験生のオンラインメンター(指導者、助言者)になって合格させる方法が主流になってると思う」と母校の東大を強化するための新たな可能性を明かした。

 スポーツ報知の電話取材に対し、近藤は今回の取り組みを始めたきっかけや真意を丁寧に説明した。

 「東大陸上部の現役部員に頼まれて、高校生向けの対談内容を考えているところでした。その時に1対1で相談に乗る形式も面白いし、1対1の方が僕に合っていると思ったので、その日のうちにツイートしました」。東大時代、学業と練習を両立させながら、家庭教師のアルバイトをしていた近藤は人に教えることが得意。「学生の時も東大を目指す受験生にメールなどでアドバイスをしたことがあるし、高校生向けの練習会を企画したこともあります。僕にとっては、新しい取り組みというよりも、これまでやってきたことの延長線に近いですね」と落ち着いた様子で話した。

 近藤は賢く、たくましい。

 静岡県東部の進学校、韮山高出身。1浪して東大理科2類に合格した。浪人中は一日平均で10時間勉強しながら、20キロ走り込み、5000メートルの自己ベストを更新した。

 東大入学後も成長と挫折を繰り返しながら走り続けた。1年時から箱根駅伝にオープン参加する関東学生連合の登録メンバーに入ったが、1、2年時はあと一歩及ばず出走できなかった。3年時は1区を走る予定だったが、直前でインフルエンザに感染し、無念の欠場。4年目にようやく1区を走ったが、区間22位相当と苦戦した。昨年、東大を卒業後、GMOに入社。同時に東大大学院に進学し、運動生理学の研究に励んでいる。

 競技と学業を並行し、その相乗効果で成長を続ける文武両道ランナーのもとには約30人の高校生らから相談があったという。

 「東大に入学し、箱根駅伝で出られる可能性があると思う受験生が2人ほどいました。彼らが合格して東大が強くなってくれればうれしい。しかし、それはあくまで副産物。僕が持つ経験や知識を知りたいという人に伝えるということに価値があると思っています」と今回の取り組みの真意を明かす。

 実際、勉強だけ、あるいは陸上だけのアドバイスを求める高校生も多く、近藤は時間が許す限り、誠実に相談に乗った。

 「僕は高校時代から以前の自分と比べることで成長しようと考えていました。目標から逆算して今、何をすべきかという考え方もありますが、今はその目標が見えにくい。例えて言うならば、今は登っている山の頂上が見えていない状態。でも、一歩ずつ登るしかない。振り返ってみた時、自分が登ってきた高さを実感できる。そして、いつかは晴れて山の頂上が見える時も来ると思います」

 目標達成のためには「逆算思考」と「積み上げ思考」がある。全国高校総体や夏の甲子園が中止された今、近藤は競技面に関しては理知的に後者の有効性を説く。決して押しつけがましくない、その言葉には静かな説得力があった。(竹内 達朗)

 ◆個人練習しつつ自宅で研究続く

  • 東大で箱根駅伝を目指す「未来の後輩」らにアドバイスを送る近藤秀一(写真提供=GMOアスリーツ)
  • 東大で箱根駅伝を目指す「未来の後輩」らにアドバイスを送る近藤秀一(写真提供=GMOアスリーツ)

 東大大学院で学ぶ近藤は普段は生活拠点がある都内で練習を行い、週末や長期休暇などの際にGMOの練習に参加する。しかし、現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響で競技は単独練習、学業は自宅での研究が続く。

 競技面について「4月から個人練習だけで(GMOの練習拠点がある埼玉の)東松山には行っていません。しかし、オンラインでできることはたくさんある。週に1回、花田(勝彦)監督と面談し、週に2回、チームの補強トレーニングに参加しています」と説明。学業についても「大学構内は立ち入り禁止なので、自宅でデータを整理したり論文を読んだりして研究の中間報告書を作成しています」と前向きに話した。

 ◆近藤 秀一(こんどう・しゅういち)1995年7月27日、静岡・函南町生まれ。24歳。小学校3年から陸上を始める。韮山高3年時に静岡県高校駅伝1区区間賞。2015年、1浪して東大理科2類に合格。19年の箱根駅伝に出場。同年、東大工学部を卒業し、GMOインターネットグループに入社。同時に東大大学院に進学し、現在、2年目。自己ベストは5000メートル13分57秒69、1万メートル29分13秒71、ハーフマラソン1時間3分44秒、マラソン2時間14分13秒。座右の銘は「意志あるところに道は開ける」。趣味は釣り。家族は両親と弟。173センチ、54キロ。

19年の箱根駅伝で関東学生連合の1区を走った近藤秀一
東大で箱根駅伝を目指す「未来の後輩」らにアドバイスを送る近藤秀一(写真提供=GMOアスリーツ)
すべての写真を見る 2枚

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 バックナンバー申し込み 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請