ソフト上野の熱投、侍の雄姿を待つばかり…生まれ変わった復興五輪の象徴「福島県営あづま球場」

福島あづま球場
福島あづま球場
福島あづま球場内のブルペン
福島あづま球場内のブルペン
福島あづま球場内の室内練習場
福島あづま球場内の室内練習場

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で東京五輪の1年延期が決定した。復興五輪の象徴として福島県営あづま球場では、3大会ぶりに競技に復帰する野球とソフトボールの開幕戦など計7試合を予定していた。改修を終え、開幕の時を待っていたあづま球場の現状に迫った。

 あとは“その時”を待つばかりだった。開会式2日前の7月22日に福島あづま球場ではソフトボールの開幕戦、日本―オーストラリア戦が開催される予定だった。しかし、猛威を振るう新型コロナの影響で3月24日に1年の延期が決定。その一報に、同球場を管理するあづま総合運動公園の施設管理課の高橋政人さんは「気が抜けてしまったというか、落胆しましたね…」と率直な胸の内を明かした。

 東日本大震災からの「復興五輪」を理念として掲げる東京五輪。その象徴として福島ではソフトボール6試合と野球の開幕戦の計7試合が開催する予定となっていた。競技を行うために、18年11月から総工費13億円の改修がスタート。昨年9月にはグラウンドが黒土の内野、天然芝の外野から、京セラドームやメットライフドームと同じ仕様の人工芝が全面に敷かれた。これにより排水力も格段にアップし、雨が降っても水たまりができにくくなった。

 さらに外野フェンスの厚さは8・5センチから14センチまで広がり、外野手が衝突した際の衝撃を和らげるアスリートファーストの対策も施された。もちろん、ブルペンやロッカールーム、シャワールームなども新しくなり、スタンドにはバリアフリーに対応するために車イス席が4席から20席に、車イス昇降機も1台増設され、身体障害者用のトイレやエレベーターなども設置された。

 球場内の改修は終え、残すは球場外に関係者用のプレハブ小屋や入場ゲートを設置するだけだったが、多くの人が熱狂の渦に包まれる瞬間は1年間の先送り。現在はプレハブ小屋など球場外の仮設物の解体が、建築に携わっていた人たちの手によって進められている。

 来年の五輪での使用に問題はないが、次に向けた準備のリスタートはいつからか決まっていない。それでも、高橋さんは「きれいにできるところはきれいにして、よりいい準備をしていきたいです。一刻も早く(コロナが)収束して、1年後に開催できればと思います」。スタンドから雄大な吾妻連峰を見ることができるこの地に、夢の祭典は1年後に訪れる。(後藤 亮太)

 ◆東京ドームより広い

 福島あづま球場は東京ドームと同じ中堅122メートル、両翼100メートルだが、ベンチからバッターボックスまでの距離が20メートル近くあり、ファウルゾーンが広い。そのためグラウンド面積が東京ドームの1万3000平方メートルに対し、あづま球場が1万4980平方メートル。高橋さんも「グラウンドは日本で1、2番目に広い球場だと思います」と話している。

 ◆吾妻連峰も眺めは抜群

 福島あづま球場は福島駅から車で約20分の距離にある。大会時は福島駅からシャトルバスが運行する予定で、球場へ向かう途中にも吾妻小富士などからなる吾妻連峰が見える。地元のタクシー運転手も「晴れた日はここから見える眺めもきれいだよ」とオススメ。

 ハマスタも生まれ変わった

  • 横浜スタジアム左翼後方に増設されたウィング席
  • 横浜スタジアム左翼後方に増設されたウィング席

 横浜スタジアムは「コミュニティボールパーク化構想」にもとづき、東京五輪へ向け17年11月から約3年にわたり増築・改修工事を進め、今年2月に完成した。

 昨年春にはバックネット裏上部にVIP仕様の個室観覧席を設置。そのさらに上部となる球場最高地点・高さ31メートルの屋上に屋外特別席が作られた。プロ野球開催時はバーベキューもできる人気のスポットだ。

 同時に昨春、右翼後方「ウィング席」(約3500席)を増設。18年までは“場外弾”となる新たな席に筒香嘉智外野手(現レイズ)が本塁打を放り込むなど盛り上げた。

 今年は三塁、左翼後方に同じ「ウィング席」(約2800席)が完成。最上段は地上30メートルの高さで、横浜港や関内エリアの街並みを始め、天候によって富士山も望むことができる。全ての改装を終えプロ野球開催時の収容人数は約5000人増え、最大3万4046人となった。

 外周エリアもスタジアムを一周できるように拡張。当初より2倍の全長600メートルとなった。試合中以外は誰でも出入りすることが可能で試合前の練習風景も見ることができる。

 総事業費は約85億円。改装は野球が好きな人はもちろん、スタジアムで観戦したことがない人も気軽に集い楽しめる場を作ることが目的だ。野球をきっかけに集いコミュニケーションを育むランドマークにしたいという思いが集約された。

 3月のオープン戦から使用をスタートしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で観客を入れての開催はできていない。満員の観衆に囲まれ、侍ジャパンが金メダルを獲得する未来が待たれる。

福島あづま球場
福島あづま球場内のブルペン
福島あづま球場内の室内練習場
横浜スタジアム左翼後方に増設されたウィング席
すべての写真を見る 4枚

野球

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請