高校球児、心からの叫び「厳しい練習に耐えてきた仲間と試合がしたい」…20日甲子園中止決定へ

昨年7月、京都外大西戦で勝ち越しの適時打を放ちガッツポーズする早真之介
昨年7月、京都外大西戦で勝ち越しの適時打を放ちガッツポーズする早真之介
自宅で入念に素振りをする京都国際の早真之介(本人提供)
自宅で入念に素振りをする京都国際の早真之介(本人提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、8月10日に開幕予定だった第102回全国高校野球選手権大会は中止が決定的な情勢だ。夏の甲子園出場を目指していた3年生らはどのように受け止めているのか。女優の夏木マリ(68)を遠戚に持つ、京都国際の今秋ドラフト候補・早(はや)真之介外野手と母・めぐみさん(39)が17日、スポーツ報知の電話取材に応じた。

 京都国際の早が偽らざる今の心境を口にした。

 「どんな試合でもいい。どんな形でもいいので、厳しい練習に耐えてきた仲間と試合がしたいです!」

 夏の甲子園が中止になった場合、京都高野連が代替大会を開催するかは未定。3年生の高校球児として、心からの叫びだった。

 15日の早朝、夏の甲子園が中止の方向で最終調整に入っている、というニュースを知った。「目覚めが悪かったです。正直、落ち込みました。仲間や(小牧)監督のことを思ったら…。熱心に指導してくださったのに恩返しができない。家族や、これまで支えてくださった方々に、甲子園に立っている姿を見せたかったです」と早は声を絞り出した。

 1年夏は京都大会準決勝、同秋は近畿大会1回戦で敗れた。2年夏は府大会決勝で敗退。あと一歩だった甲子園初出場に挑戦する機会が失われつつあり「京都国際に入った理由は、本気で勝ちを求める指導者の方がいて、甲子園を目指せる仲間がいるから。コロナの影響で甲子園がなくなりそうで、今までの時間が無駄になって悲しい」と漏らした。

 20日の運営委員会で中止が正式決定される見込み。最後まで開催されることを信じて待つどころか、すでに一つの夢に向かって気持ちを切り替えていた。「甲子園は『ない』と思っています。プロを目指しているので、落ち込んでいる暇はない」。4月上旬から野球部は活動停止中のため、滋賀・甲賀市の実家に戻り毎日2~3時間の自主練習に励んでいる。

 高校通算27本塁打を誇る左の好打者には、複数球団が注目している。小牧憲継監督(36)は「いい投手になればなるほど打つ。勝負どころで強い」と長所を挙げ、客観的な視点で「(ドラフトの)下位か育成(レベル)」と評する。スカウトは練習試合すら視察できていないため、11月5日のドラフト会議では例年より指名人数が減る“狭き門”になることが予想される。

 大学や社会人入りを検討した時もあったが「今は全く考えていない」とプロ一本の初心を貫く。「試合ができないので、練習でもいいプレーをしたら(スカウトに)見てもらえると思う。少ないチャンスをものにできたら」と自ら道を切り開く覚悟を示した。(伊井 亮一)

 ◆母「悲報直後はイライラMAXだった」

 母・めぐみさんも喪失感を抱えていた。夏の甲子園中止が決定的になり「子供たちの気持ちを考えるとつらい。将来、野球部の仲間と、いい思い出を語り合えなくなってしまう不安があります」と、こぼした。

 悲報直後の早は「イライラがMAX」だった。「(つらいのは)あんたらだけじゃないんやから」と慰めても「そんなん分かってるし!」と八つ当たりされた。息子にはプロ入りという夢があるが「(目標が)甲子園しかない、他の子のことを考えてしまう」と無気力に陥らないことを願った。

 夏の地方大会に向けて千羽鶴を折ったり、壮行会の準備もできていない。部員の母親たちのLINEには「泣いたわ~」「甲子園なしでは親が卒業できない」「どんな形でも、野球をしている姿を見て終わりたい」など悲痛な声が書き込まれたという。

 ◆49地方大会の代替大会 日本高野連は都道府県高野連に対し、各地の感染状況などを踏まえて可能であれば代替大会を無観客で開催するように求める見通し。開催ガイドラインの作成にも取りかかっている。東西東京や岩手、沖縄など少なくとも28大会が開催する方向で準備、検討をしているが、授業との兼ね合いや費用面などで例年通りの開催は難しいという声も。1試合7回制で1日4試合の開催を検討している県もあるが、開催実現へ課題は多い。

昨年7月、京都外大西戦で勝ち越しの適時打を放ちガッツポーズする早真之介
自宅で入念に素振りをする京都国際の早真之介(本人提供)
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