ミニシアター支援に3億円、コロナ禍で見えた日本映画界の希望

上田慎一郎監督
上田慎一郎監督

 新型コロナウイルスの感染拡大で休業を余儀なくされた小規模映画館を支援するため、4月13日に始まったクラウドファンディング「ミニシアター・エイド基金」が15日までに3億1000万円以上の支援金が寄せられた。当初の目標だった1億円を大きく上回った。

 特に注目したいのは、資金力が豊富な大手配給会社がキャンペーンを展開して集めた結果ではないということ。深田晃司監督(40)、濱口竜介監督(41)ら実際に映画作りに携わる現場の制作者たち、劇場支配人たちが個人として声を上げ、草の根的に広がった結果だ。日本映画の人気ランキングを見ると、全国のシネコンでロードショー上映される娯楽映画やアニメ作品が上位を占めることが一般的。だが今回、インディーズ作品も積極的に上映するミニシアターの愛好家が予想以上に多く、映画ファンの裾野が広いことが証明された。

 昨年の映画界は年間興行収入が2611億円で過去最高を記録する活況に沸いた。それが一転、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う緊急事態宣言の影響で壊滅的な状況に。それでも映画は世相を反映するものだ。行定勲監督(51)や上田慎一郎監督(36)は、外出自粛を求められた状況を逆手に取って、わずか数週間で完全リモートの短編映画を完成させ、日本映画の底力を見せつけた。この2人はミニシアター支援も積極的に訴えていた。

 全国39県の緊急事態宣言解除が決まり、15日からは多くのシネコンが営業を再開する。各劇場は感染予防対策を徹底するが、ネット上では「映画は見たいけど、感染はしたくない」という声があり、客足が戻るには、時間がかかりそうだ。3月下旬以降の新作公開がいずれも延期となっていることもあり、しばらくは苦肉の策として旧作を上映する。コロナの状況が収束に向かえば、今後は7月以降の夏休み映画などを予定通り公開し、その合間に延期していた作品を順次、公開することになるだろう。

 映画ファンの熱意はコロナ禍で危機に陥った映画界の希望になった。大前提は人命あってこその娯楽。急ぐ必要はない。少しずつ日常を取り戻していきたい。(記者コラム)

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