新型コロナウイルスの感染が拡大する中、結婚式場「原宿東郷記念館」(東京・渋谷区)が、進化型オンライン結婚式「東郷 LIVE WEDDING祝言」を6日にスタートし、注目を集めている。
結婚式のトップシーズンといわれる4、5月、同館には計100件以上の予約が入っていた。しかし、利用者や従業員の安心安全のため、緊急事態宣言が発令される前から予約者に婚礼の延期を提案。業界ではキャンセル料を巡る問題も発生しているが、同館はキャンセル料なしで対応した。
両月の予約はゼロになったが、4月にリモート会議を重ね、以前から温めていたライブウェディングの企画を本格化。今月9日に第1号として、埼玉県の山崎祐希さんと梨紗さん(ともに34)が式を挙げた。
山崎さんは当初、5月に式を予定していたが、コロナの影響で一時は11月に延期。しかし、福井県に住む梨紗さんの祖母が寒い時期に上京することへの不安やコロナの収束が見えないことから、テレビ会議アプリ「Zoom」で会場と福井など遠隔地の親戚をつなぐ新たな形の式を選んだ。
感染防止のため、会場の参列者は新郎新婦含め9人以下に抑え、神主や巫女(みこ)もマスクを着け、換気や社会的距離の確保を徹底。婚礼の様子はユーチューブで配信され、披露宴ではあらかじめ親族宅などに配達された会場と同じ婚礼料理「東郷ハレの日御膳」を、画面を通じて一斉に開ける演出などで盛り上がった。
6月の婚礼延期を予定していた人たちの約半数が、「東郷LIVE WEDDING」への変更を前向きに検討しているという。同館は「式が延期になり、電話の向こうで泣いていらっしゃる方もいた。感染対策をしながら、遠隔でも通常の披露宴に近い形で行うことができるので、『結婚式をあきらめないで!』と申し上げたい」と話した。(竹内 竜也)