「3世代幕内力士」最高傑作の琴ノ若、祖父と父も届かなかった新入幕勝ち越しも「まだまだ」…「大相撲報知場所」2日目

今年の初場所で土俵に塩をまく琴ノ若
今年の初場所で土俵に塩をまく琴ノ若
05年11月、父親の現・佐渡ケ嶽親方の引退発表に出席した、少年時代の琴ノ若(手前左)と祖父の元横綱・琴桜(同右)
05年11月、父親の現・佐渡ケ嶽親方の引退発表に出席した、少年時代の琴ノ若(手前左)と祖父の元横綱・琴桜(同右)
佐渡ケ嶽部屋家系図
佐渡ケ嶽部屋家系図

 コロナ禍により、大相撲夏場所は延期案を経て、中止が決まった。日本相撲協会の苦渋の決断だが、力士らは下を向かずに無観客での東京開催を目指す7月場所(同19日初日)へ目標を切り替えた。スポーツ報知では本来なら夏場所初日だった10日から本場所と同じ全15日間、「大相撲報知場所」と題した連載で注目力士、角界の雑学などを取り上げる。

 角界の次代を担う西前頭13枚目・琴ノ若(22)=佐渡ケ嶽=の躍進に注目が集まっている。母方の祖父は元横綱・琴桜、父は師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)。春場所は名門の重圧をはねのけて9勝を挙げ、祖父と父も届かなかった新入幕勝ち越しを決めた。今は無観客での東京特別開催を目指す7月場所(同19日初日・両国国技館)へ黙々と鍛錬を積む。スピード出世が期待される逸材は、電話取材からも熱き思いがあふれ出た。(構成・小沼 春彦)

 初の無観客だった春場所で、新入幕の琴ノ若が大きな自信をつかんだ。祖父は元横綱・琴桜、父は師匠・佐渡ケ嶽親方。極めて珍しい「3世代幕内力士」は注目を浴びた。ガチガチに緊張してもおかしくはないが、静寂の土俵を力に変えた。

 「異様な雰囲気ではあったけど、逆に集中できた。幕尻(東前頭18枚目)で無我夢中。緊張している暇はなかった」

 千秋楽では元大関の栃ノ心(春日野)を上手ひねりで破って連勝締め。9勝6敗で15日間を乗り切り、かつて「猛牛」と呼ばれた祖父(6勝)も、父(7勝)も果たせなかった新入幕勝ち越しを決めた。それでも、冷静に自己分析した。

 「自信はついたが、2ケタ白星に乗せられなかった。まだまだ。相撲の一番一番に小さくてもいいから課題を見つけていくことが、これからも大事になる」

 押す力、相手まわしを切る力が足りないと実感した。先代の内弟子だった尾車親方(元大関・琴風)は、幼少から雪駄(せった)を履きこなしていた琴ノ若を見守ってきた一人。伸び盛りの22歳に「父譲りの懐の深さがある。先代の爆発力ある立ち合いが身につけば、佐渡ケ嶽部屋の最高傑作が生まれる」と期待した。

 「ありがたい、うれしい言葉です。言われたとおりの最高の力士になりたい。それには努力しないと」

過去の力士から学ぶ 相撲に対して貪欲だ。昨年12月、師匠の故郷・山形での激励会に出席した。千葉・松戸市から約5時間のバス移動。その車中、師匠が集めた名力士映像を食い入るように見た。双葉山、栃錦、若乃花、北の富士…。手に汗握った。組んでよし、押してよし。気づけばDVDは3周していた。

 「小柄でも技のスピード、キレ味がすごかった。時代は違っても必要な技は盗もうと思った。先代も、師匠も『これだ』という自分の形を持っていた。右四つとか、自分も体が勝手に反応するまで稽古する」

 コロナ禍で夏場所は中止となった。無観客での東京開催を目指す7月場所まで約2か月空く。この時間をどう生かすか。佐渡ケ嶽親方は「部屋には琴奨菊、琴勇輝、琴恵光、琴勝峰がいる。兄弟子もいる。学ぶことは多い」と背中を押した。

 「自分を鍛えるチャンスとして受け止めたい」

琴桜継承プランも 春場所後は原則、外出禁止。先代の墓参りはできていないが稽古場の遺影に手を合わせ、新入幕勝ち越しを報告した。三役、そして大関まで昇進すれば「琴桜」継承プランもある。一歩ずつ着実に出世街道を進む。

 ◆琴ノ若 傑太(ことのわか・まさひろ)本名・鎌谷将且(まさかつ)。1997年11月19日、千葉・松戸市生まれ。22歳。3歳から相撲を始め、埼玉栄中、高を経て佐渡ケ嶽部屋に入門。琴鎌谷として2015年九州場所で初土俵。19年名古屋場所で新十両に昇進し、琴ノ若に改名。今年春場所で新入幕を果たした。最高位は西前頭13枚目。得意は右四つ、寄り。趣味は音楽鑑賞。189センチ、169キロ。

今年の初場所で土俵に塩をまく琴ノ若
05年11月、父親の現・佐渡ケ嶽親方の引退発表に出席した、少年時代の琴ノ若(手前左)と祖父の元横綱・琴桜(同右)
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