中村芝翫、静まり返った歌舞伎座に涙もステイホームで親子の会話増えた

自宅でリラックスした表情を見せる芝翫(本人提供)
自宅でリラックスした表情を見せる芝翫(本人提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大で2月末より公演がストップしている歌舞伎界。2016年に史上初の親子4人同時襲名をした中村芝翫(54)と3人の息子に、どのように過ごしているのか電話取材した。芝翫は「ステイホーム」で親子の会話が増えたことを前向きに捉え、子供たちは歌舞伎と向き合いながらも趣味を楽しんでいる。長男・橋之助(24)は宝塚歌劇、次男・福之助(22)は愛犬・めんまの世話、三男・歌之助(18)は料理に熱中している。それぞれ意外な一面をお伝えしましょう。(有野 博幸)

 過去に経験したことのない長期の公演中止。芝翫は「こんなに長く歌舞伎ができないのは戦時中くらいですよね。先日、東銀座に行って歌舞伎座を見たら静まり返っていて涙が出ました。ウイルスは先が見えないのが怖い」。その一方で「ステイホーム」によって、息子たちとの関係に好影響も。

 「昔は『とうたん』と言ってじゃれ合ってきた息子たちが、襲名してから敬語で接するようになった。僕のことを歌舞伎役者の先輩のような目で見るようになったんですよね。それが毎日、顔を突き合わすようになって、悩みや弱みを見せるようになった。公演前のピリピリした時と違って、フラットに話ができている」と親密な会話が増えたことを喜ぶ。

 毎朝6時起床。規則正しい生活を心掛ける。「過去の台本やビデオを整理したり、映画を見て過ごしています」。3人の息子を始め、若手俳優には「みんなエネルギーが有り余っているでしょうね。僕も若い頃は勘三郎の兄(義兄)としのぎを削り、夢を語り合って爆発させるように芝居に向かってましたから。それをウイルスで止められるなんて、どんなに苦しいことか…」と思いやり、悔しさをにじませる。

 3月の歌舞伎座公演では、YouTube配信用に無観客での舞台を経験した。「お客さまのいないところでの芝居がこんなにも寂しいものなのか」。明治座の座談会、南座の「新版オグリ」、国立劇場の「義経千本桜」も配信映像をチェックして「バラエティー豊かで魅力が濃縮していました。やっぱり歌舞伎は優れた芸能だなと思いました」。歌舞伎好きの知り合いからは「弁当を用意して正装でYouTubeを見ました」と言われたという。

 広島を舞台にしたNHK大河ドラマ「毛利元就」(1997年)に主演した縁で広島カープの大ファン。佐々岡真司監督(52)と20年以上の親交があることもあり、例年以上にプロ野球の開幕を待ち望んでいたが、延期に。「佐々岡さんとはLINEで連絡を取り合って、近況報告をしています。早くプロ野球を見たいですね」。八嶋智人(49)、谷原章介(47)、島谷ひとみ(39)らと共に応援歌「それ行けカープ」の歌唱リレーにも参加している。

 先日は市川猿之助(44)と電話で話す機会があった。「歌舞伎界のためにできることがあれば、お互いに協力しましょう」と語り合ったという。公演再開のメドは立っていないが、今後に向けて「信念を持って、自分自身を見つめ直すことが大事になってくる。深く考え過ぎず、上を向いて考えていきたい」。歌舞伎座前で流した涙を忘れず、コロナが終息してからは舞台で悔しさを晴らすつもりだ。

  • 宝塚のDVDを手にする橋之助
  • 宝塚のDVDを手にする橋之助

 ◆長男・橋之助、宝塚のDVD

 1月の浅草花形歌舞伎で「花の蘭平」を勤めた橋之助。3月の明治座でも成駒屋に伝わる家の芸である「芝翫奴」を演じるはずだった。

 コロナの影響で中止が決まり「今年やらせていただく予定だったお役はどれも楽しみで、去年からワクワクしていました。それだけに受け入れられなかった」と肩を落とした。出演者による座談会はYouTubeで配信されたが「勘九郎さん、七之助さんを中心にチームワークが良かった。また、あの座組でやりたいですね」と気持ちを募らせる。

 自宅では大好きな宝塚のDVDを見て過ごしている。「オーラが劇場全体を包んでいて、世界観が素晴らしい」。特にお気に入りは月組トップスターの珠城りょう、雪組トップ娘役の真彩希帆の2人。「歌舞伎俳優ということは抜きにして、完全に個人として楽しんでいます」。ブログでも宝塚の感想をつづっている。

  • 愛犬と遊ぶ福之助
  • 愛犬と遊ぶ福之助

 ◆次男・福之助、愛犬のお世話

 昨年10、11月に「新版オグリ」で小栗四郎役に抜てき。スーパー歌舞伎を初体験した福之助。「初日のカーテンコールで感動しました。『オグリ』はお客さんも参加して一緒に舞台をつくり上げるので、経験したことのない世界が見えてきました」

 市川猿之助からは「スーパー歌舞伎だけど歌舞伎らしいにおいを大事に」ともアドバイスされた。「責任を感じました。猿之助さんが練りに練って芝居をつくる様子が、とても勉強になりました」。それだけに3月の京都・南座公演の中止はショックだった。しかし、YouTubeでの配信が決まると友達に「絶対に面白いから見て」と勧めたという。

 自宅では愛犬のめんま(プードル)と遊ぶ時間がお気に入りだ。「地方公演があると、なかなか会えないので、今はずっと一緒にいます」。犬も幸せ。おうち時間を前向きに楽しんでいる。

  • 大学のオンライン授業を受ける歌之助
  • 大学のオンライン授業を受ける歌之助

 ◆三男・歌之助、料理はプロ級

 歌之助は昨年12月の歌舞伎座「本朝白雪姫譚話」で坂東玉三郎と初共演し、白雪姫を助ける王子様を演じて注目された。4月から大学生になり「歌舞伎に本格的に出るつもりだったので」と残念がる。キャンパスライフはコロナ禍で入学式が中止となり、自宅でオンライン授業を受けるという。

 憧れの歌舞伎俳優に松本幸四郎(47)を挙げる。「驚くほど知識が豊富でアイデアマン。芝居も魅力的で、人柄も素晴らしい。最近は幸四郎さんが出ていた『劇団☆新感線』のDVDを毎日、自宅で見ています」と自分の芸にも生かせるよう“幸四郎漬け”になっている。特技は料理。「母(三田寛子)の手伝いをしているうちに自然と覚えていきました。母が仕事でいない時、父や兄のためにパスタを作ったりしています」。福之助がブログで公開した「水菜とカラスミのパスタ」は、イタリア料理店のメニューを思わせる本格派だ。

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