いよいよ開幕発表!? ニューノーマル時代が始まる

 いよいよ始まる。そんな空気を感じる。新型コロナウイルスは依然として猛威を振るっているが、一方で抑え込みにメドが立ったところでは経済活動が徐々に開始されている。アメリカでは専門家の「早過ぎる」の声をかき消すかのように、30を超える州で動き出した。

 例年通り9月開幕を発表したアメリカンフットボールのNFLがチケット販売をスタートしたり、人気の自動車レースNASCARも無観客で今月末の開催を決めるなど、スポーツシーンの動きが慌ただしくなってきた。また、激しく傷つけられたイタリア、スペインなどからはプロサッカーチームがリーグ再開に向けてトレーニングを始めるという情報も入ってきた。

 そうした流れの中でメジャー開幕の「いよいよ感」が出てくるのだが、それを増幅させているのが無観客で開幕し、8日からは1000人限定の観客を入れ始めた台湾プロ野球。そして、無観客ながらも約1か月遅れで開幕した韓国プロ野球だ。普段は滅多に報じることのないニューヨーク・タイムズ紙が両国の現状報告を掲載し、スポーツ局ESPNは週6試合の予定で韓国プロ野球の生中継を開始した。

 1日も早い「アメリカ国技」の再開はファンの誰しもが願うことだ。こうしたアジア野球の報道によって、その高まりは熱く、強くなるのは自明だ。実際、最近ではアメリカ国内で最もダメージを受けているニューヨーク州のアンドリュー・クオモ州知事や、深刻な報告と向き合う日々を過ごすアンソニー・ファウチ国立感染研究所所長でさえ、会見でベースボールの恋しさを口にすることがあった。「メジャーリーグ機構は7月1日開幕を軸にした開催案を選手会に提示する見込み」と複数のメディアが報じた。また、元選手のSNSなどでも同様の情報が拡散。インディアンスなど10球団を超える球団では選手に対して準備のペースを上げるように指示したとも伝えられている。

 今後、双方がどのような形で詰めていくのか注目されるが、再開の大前提となるのが感染予防対策だ。台湾と韓国を参考にして万全な対策を講じることになるはず。球団は選手の体調管理ばかりでなく、職員を始め、現場で運営にかかわるあらゆる関係者の健康チェックを義務付けられるだろう。

 ユニホーム組はベンチでマスク着用、ハイタッチ、握手、唾吐きといったことが禁止され、ベンチから大声を出すこともできなくなるに違いない。また、球審はマスクの内側にもう一つのマスクが必要になるだろうし、ゴム手袋もしなければならないことになる。

 当初は無観客だろうが、観客の入場が認められるようになると、観客には入場の際の検温、マスクの着用が義務づけられる。(きっと、球団のロゴ入りが発売されるはずだ)

 スタンドはソーシャルディスタンス(社会的距離の確保)のために、2席ずつぐらいの間隔を開けることになるだろう。当然、大声で声援することも、ハイファイブも、ブーイングでさえ厳しい制限を受けるだろう。

 球場のムードは確実に一変する。あまり想像を広げたくないが、少なくても素敵な光景は浮かばない。しかし、治療薬やワクチンが開発されてコロナ禍が終息するまで、基本的にはこのようなニューノーマル(新しい常態)の中でナマのベースボールをみることになる。いや、終息しても次なるウイルスの影に脅かされて、いつの間にかニューが取れてただのノーマルになるかもしれない。

 しかし、そんな規則に縛られる行動変容が求められても、ファンはきっと素直な感情を表現する応援スタイルを見つけ出すだろう。例えば喝采シーン用だけに振る旗の作成、ブーイングに代わって足踏みノイズなどが思いつくし、むしろ厳重な規則のもとだからこその自由で大胆な発想で応援のニューノーマルができるかもしれない。2020年のプレーボール。その「いよいよ感」が想像力をかきたてて、季節外れの球春が間もなくやってくる。

出村義和(スポーツジャーナリスト)

出村 義和
 (でむら・よしかず)1971年、ドジャースタジアムでMLB初観戦。ベースボールマガジン社でアメリカ総局勤務、週刊ベースボール編集長などを務める。独立後、ニューヨークをフランチャイズに19年間MLBを中心に多岐にわたるジャンルで取材、執筆を行う。帰国後、JスポーツでMLB中継の解説者も務める。

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