西武・森友哉は最高の教材 身長170センチでもやっていける下半身集中のマン振り…プロに学ぶ技術

スポーツ報知
西武・森の打撃フォーム連続写真(3月15日撮影)

 プロの技術を学ぶ企画『見本代表』。今回は、昨季パ・リーグのMVPに輝いた西武・森友哉捕手(24)の登場だ。打率3割2分9厘で首位打者のタイトルを獲得した球界屈指の強打者。その打撃フォームを、野球評論家の清水隆行氏(46)が解説した。

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 多くの人が、森に対して「ブンブン振る」という印象を持っていると思う。振り回すバッターは、三振か、ホームランかどちらか―というイメージもあると思う。しかし森は違う。振り回すように見えるのに、昨季首位打者になった。その極意が、この連続写真で見えてくる。

 まずは〈4〉のトップの形に注目。グリップをしっかり引いて、頭、左膝とともに捕手寄りに位置している。トップでは、インパクトで強い衝撃をボールに与える準備ができているかどうかが大切。森は、グリップも頭も左膝も捕手寄りにキープすることで、その体勢が整っている。

 〈5〉でボールを打ちにいく。ここで左膝を使い始めるがグリップはまだ捕手寄りに残っている。手と膝が一緒に動き出すと、ねじれができず打つ時にボールに強い衝撃を与えられない。コンマ何秒でもいいから、先に下半身が動き出す、いわゆる「下半身主導」だ。

 〈7〉のインパクトでは右足を見てほしい。右足の母指球(親指の付け根のふくらんだ部分)が、めくれていない。母指球が地面をしっかりつかんでいるから左サイドにためた力を逃がさずボールに伝えることができる。バッティングでよく「右足の壁」(左打者の場合)という表現を使うが、この写真がまさにそれだ。

 〈7〉でもう一つ、参考にしてほしいのが頭の位置だ。インパクトを上からでなく後ろ(捕手)のほうから見ている。見本にならない打撃、強く打てない打撃の写真は、打者の顔や上体が、ボールに近づいて上からインパクトの瞬間を見ている感じになることが多い。ボールを捉えるインパクトの瞬間を上からでなく後ろ(捕手)から見る。これが理想だ。

 〈8〉以降のフォロースルーは、バットのヘッドがセンター方向へ、まるで長い楕円(だえん)を描いているかのようだ。「ブンブン振る」バッターなのに、引っ張りではなく、常にセンター方向を意識している。だから体が開かず、モロさも出ない。いい打ち方だ。

 長打が打てて、なおかつ打率も残せる森の打撃はいい手本。特に〈4〉~〈7〉は最高の教材だ。

 ◆幼少時から毎日1時間練習「自然と体に染み込んだ」

 体がのけぞるほどのマン振りに観客はどよめく。フルスイングが代名詞の森は、打席で心がけることとして「全力で振ること。追い込まれてカウントが悪くなったら、軽打をするとか逆方向を意識するとか、状況次第で変わるけれど、基本は『強く振る』こと」と言い切った。

 “最高の教材”と言われる理由は下半身にある。打撃での上半身と下半身への意識の比重は「0対10」のイメージだという。比重としては極端だが、下半身主導を意識して、踏み込む時に右足の親指を強く地面に着くことで体が開かず、スイングができる。

 プロ7年目を迎えるが、大阪桐蔭高時代からほとんど打撃フォームは変わっていない。野球を始めた幼い頃から、2時間の素振りや羽根(シャトル)打ちを欠かさなかった。「毎日、何かしらの練習を最低1時間はやっていた。そうすることで自然と体に染み込んでいったんだと思う」。基本を繰り返し、体に覚えさせることで、結果を残し続ける波のない打撃につながっているのだろう。

 森は「(自分は)プロでは小さい方(身長170センチ)だけど、やっていけるということを伝えられたら」という思いも持っている。プロの世界を目指す野球少年・少女に夢を与えるため、バットを振り続ける。(西武担当・森下 知玲)

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