安倍首相コラボ動画騒動 数年前からあった、なんだかなあな「前触れ」

 少し前だが、安倍晋三首相が星野源の「うちで踊ろう動画」とコラボして、賛否両論の騒ぎになったことがあった。私にとっては「あーなるほど」な事件。かつて国会担当の記者をしていた時、関係者からこういう動画を流してしまうような「前触れ的な話」を聞いたことがあったからだ。

 数年前、安倍首相のフェイスブックが、テレビ局のニュースのミスにやたら細かく突っ込んでた時があった。痴漢事件で安倍首相の画像が一瞬間違って挿入されただけなのに「ネガティブキャンペーンが始まったのでしょうか」ウンヌン。あまりに細かすぎるので不思議に思い、側近的な人に事情を聞いてみたら、こんな答えが返ってきた。

 「ありゃねぇ、ネットの人達へのガス抜きだよ」

 いわく「SNSの方針は周囲の対策チームが考えている」「マスコミへのプチ攻撃にネット民は喜ぶ」「そして安倍首相自身はノータッチ」。ノータッチの意味は、安倍首相が書いていないのか、方針にノータッチなのかはわからない。

 当時すぐその人に「なんだかなあ」と言ってしまったことを覚えている。ネット民を支持母体にしたいのは理解できるが、SNSにはもっともっと、自己アピールできるような使いみちや影響力があるだろうに。その旨の質問もぶつけはしたが「あんまりしっかりSNSを書き過ぎると、針の穴を突く感じで意外なところから批判がきて失敗する」とのことだった。

 今回の騒動。この数年前のSNSに対する考え方が、全く変わっていないと感じさせられてしまった。つまり、国民へのガス抜き感覚で軽くユルく考えてアップするというメカニズム。つまり「これさえやれば、みんな喜ぶんだろ?」といった、数年前と変わらぬおごりがあったような気がする。

 数年たてば、ネットも社会情勢も激変する。かつての「ガス抜き」感覚ではもはや意図もバレバレ、すぐ不快感が伝わってしまう時代になっている。ツッコミやすい絶妙映像の中身は別にして、ネットに対して全く変わらない感覚で数年も過ごしてきたと思われる首相周辺の人たちの意識に対して、再び「なんだかなあ」感が漂うのだ。(記者コラム・樋口 智城)

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