夏場所中止で15億円減収も協会関係者「今はコロナの収束が第一」

スポーツ報知
11年5月、技量審査場所で休業した相撲茶屋

 政府の緊急事態宣言延長により、4日に大相撲夏場所の中止が決まったことを受け、日本相撲協会の減収は15億円以上の見込みであることが5日、明らかになった。無観客で入場料収入のなかった春場所(エディオンアリーナ大阪)では推定10億円が消えた。2場所連続の大減収になるが、新型コロナウイルス感染拡大防止へ、協会関係者は「収束させるのが第一だ」との姿勢を強調した。

 緊急事態宣言の延長期間と重なった夏場所中止が決定してから一夜明け、感染拡大防止に取り組む相撲協会への影響も徐々に見えてきた。コロナ禍は数字にも表れそうだ。

 春場所(エディオンアリーナ大阪)は初の無観客開催で、協会担当者によると、昨年に比べて入場料など約10億円の減収を余儀なくされた。夏場所が行われるはずだった東京・両国国技館の収容は約1万1000人で、大阪よりも3000人以上多い。夏場所はチケット販売を見合わせていたものの、近年の大相撲人気や新大関・朝乃山(高砂)らの台頭で完売する可能性は高かった。

 さらに、中止によって入らなくなることが見込まれるNHK放送権料を含めれば、春以上の推定で15億円超の収入が消えることになる。2場所連続の大減収が想定される事態だが、協会関係者は「今はコロナの収束が第一だ。お金の問題ではない」と語気を強めた。

 中止の余波は周囲にも広がっている。国技館内には「お茶屋」と親しまれ、江戸情緒たっぷりの相撲案内所が20軒ある。本場所開催中は来場者に向けた飲食サービスなどを行っているが、これも休業となる。はかま姿の出方(でかた)と呼ばれるある案内係は「5月場所の仕事がなくなってしまった。補償がどうなるのか。場所ごとの契約とはいえ、自分たちも困っている」と切実な思いを明かした。

 協会は7月19日初日の名古屋場所を両国国技館での特別開催に変更。さらに10月の秋巡業も取りやめた。感染リスクを減らすための苦渋の決断。八角理事長(元横綱・北勝海)は4日に、「緊急事態宣言の延長が発令されたことを鑑(かんが)み、ファン、関係者のみなさまの健康と安全を確保するため」と強調し、「一刻も早く現況が収束することを願う」とコメント。医療従事者への感謝も込めた。

 再び無観客での実施を目指す7月の本場所まで約2か月半。今後の減収も避けられない状況だが、協会員からは「長くて厳しい闘いだけど、頑張りますよ」との前向きな声も聞こえ始めた。

 〇…大相撲夏場所が中止になったことを受け、中継を予定していたNHKは代替番組について「検討中です。決まり次第発表します」としている。同局は日本相撲協会と「年6回の本場所の中継放送」の契約を結んでおり、無観客での開催となった春場所も放送していた。3月に、第92回センバツ高校野球大会が中止になった際には、野球アニメ「メジャーセカンド」第1シリーズ(全25話)を集中放送した。

 ◆相撲案内所 相撲茶屋ともいう。江戸時代から始まったとされ、大相撲本場所の場内に店舗を設置し、入場券の仲介販売や観客の案内、また注文を受けた弁当や飲み物を座席まで届ける。現在は東京に「国技館サービス株式会社」の20軒、大阪には8軒あり「大阪相撲案内所組合」を編成している。名古屋の3軒は、それぞれが独立した業者。東京の20軒は「高砂屋」「紀の国屋」などの屋号を1957年に廃止し、現在は「一番」「二番」などと呼ばれている。

 ◆2011年度以降の日本相撲協会の事業収益 11年度は八百長問題に揺れた春場所が中止、夏場所が無料公開の技量審査場所となったことが響き、本場所の入場券、NHK放送権料などで得られる事業収益は約54億4000万円と、前年比でおよそ30億円の大幅減となり、角界の財政を揺るがした。年6場所を開催した翌12年度は約85億円まで回復し、14年度から公益財団法人に移行。今年3月の協会発表によると、19年度の事業収益は約119億円だった。春場所の無観客による10億円程度の減収は20年度の決算に含まれる。東京開催になった名古屋場所も方針通りに無観客で実施された場合、夏場所中止分を含め、減収幅はさらに大きくなる。

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