“8億の減収”を防ぐために…無観客試合で収益を生む方法は? J1平均入場料収入は年間8億円

3月に無観客で行われた鹿島と札幌の練習試合
3月に無観客で行われた鹿島と札幌の練習試合

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の延長により、Jリーグの再開(J3は開幕)は7月以降となる見通しが強まっている。リーグが公表している「Jクラブ個別経営情報開示資料」によると、2018年度のJ1全18チームの平均入場料収入は8億400万円だった。再開後も無観客での開催が避けられない情勢のなか、仮に無観客のままシーズンを終えると、この数字がそのまま減収となってしまう。“8億円”の穴を埋めるだけの、新たな収益構造が求められている。

*  *  *

 ドイツ1部ボルシアMGの試みは革新的だ。無観客試合に備え、ホームスタジアムの座席にサポーターの顔の切り抜き写真を設置できる権利を約2000円で販売。既に1万席分以上が売れており、設置作業も始まった。

 クラブ主導ではなく、サポーター団体の発案だという。米国の大手雑誌「タイム」は「世界中で模倣されるべき価値がある」と報じている。

 Jリーグの村井満チェアマンは、新たな収益構造の選択肢の一つとして「投げ銭」制度の導入に言及している。クリックで寄付ができる“おひねり”のような仕組みで、YouTube内の「視聴者ファンディング」という形で世間に浸透している。サッカーでの導入となると、好プレーやフェアプレーへの対価を募る形が想定される。

 同じくデジタル施策の一つとして、鹿島の小泉文明社長はクラウドファンディングを用いたプランを明かしている。選手が試合で着用したユニホームやスパイク、試合球などを出品する構想だ。

 ツイッターやインスタグラムなどのSNSと異なり、構造上収益を生みやすいYouTubeでの発信も注目されている。全56クラブ中53クラブが公式チャンネルを開設するなど土壌もある。昨今の巣ごもり需要に応えるサービスを提供するだけでなく、どこまでマネタイズ(収益化)に踏み込めるかがカギとなる。

*  *  *

 村井チェアマンが言うように、今季のJリーグは「競争」ではなく「共存」。良いアイデアをクラブ間で共有する姿勢が求められる。

 経営陣にIT業界出身者が多いクラブは、デジタルを駆使した先鋭的な発想が期待される。一方で親会社を持たない“街クラブ”には密接な地域とのつながりがあり、地域と連携した収益化の施策が生まれやすいかもしれない。横浜Mには英・シティグループの知見とノウハウがあるし、サポーターの絶対数が多い浦和が繰り出すプランの影響力は計り知れない。既に大ピンチの鳥栖が放つ“命がけ”のアイデアも期待大。入場料収入の穴を埋めることは決して容易ではないが、リーグ全体で一枚岩となり、少しでも多くの収益構造を確保した上で再開の時を迎えたい。(記者コラム「〇日後に再開するJリーグ」担当・岡島 智哉)

コラムでHo!とは?
 スポーツ報知のwebサイト限定コラムです。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

サッカー

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請