2月末から新型コロナウイルスの影響で公演が途絶えている歌舞伎界。松本幸四郎(47)、市川染五郎(15)親子はどうしているのか。幸四郎は3月の歌舞伎座、4月の四国こんぴら歌舞伎が中止になった。歌舞伎命で休まず突き進んできただけに、ステイホームは異次元状態だ。外出自粛が呼び掛けられる異例のゴールデンウィーク。電話取材をすると、幸四郎の頭の中はやはり歌舞伎で埋め尽くされていた。
これまで無我夢中で稽古に集中できていたのは、次々に決まっていく公演という目的があったからだと気付かされます。収束を願いながらも劇場再開は見えてこない。現実にぼう然となることがあります。しかし「仕方がない」と手をこまねいていてはいけないと考えます。
中止になった3月の歌舞伎座公演。収録のため無観客上演に臨みました。あれができただけでも幸せでした。しかしいつも私たちが無観客でやるのは初日前の舞台稽古。開幕を控えたときだけです。なので、あの収録を終えたとき。「今回はこれで終わりなんだ」と思うと、たまらない寂しさと悔しさに襲われました。
歌舞伎座の動画(無料配信)を多くの方にご覧いただけたことは励みになります。劇場で上演できないからといって400年続く歌舞伎を滞らせてはいけない。自分はあと数年で50歳。立場的にもこの先の歌舞伎のあり方を真剣に考える時間ではないのか、と受け止めています。歌舞伎はずっと劇場まで見に来ていただくという形でした。でもこれからは、私たちからお届けする歌舞伎も求められるでしょう。
話は変わって犬のニッキーですが、もとは狩猟犬だけにかむ力が強くて驚かされます。いまは小さくてかわいいですが、成犬になると人間より大きくなるとか。想像しただけでちょっと怖いのですが、ニッキーの今後もきちんと考えていきたいと思います。(談)
【幸四郎から野球記者の方々へ】巨人ファンで原監督に憧れてきたので報知新聞も読んでいます。今年のチームは記事にする内容がいっぱいで何を載せるのか逆に困るのでは、と思っていました。それが今回のコロナ。野球記者の方々も選手の料理対決など書いたことのない記事に悩んだり戸惑っておられるかもしれません。でも野球の記事は隅々までチェックしていますので頑張ってほしいです。
◆松本 幸四郎(まつもと・こうしろう)1973年1月8日、東京都生まれ。47歳。2代目松本白鸚の長男。79年3代目松本金太郎、81年7代目市川染五郎、2018年10代目松本幸四郎を襲名。13日にはシネマ歌舞伎のブルーレイ「東海道中膝栗毛」「東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖」が発売される。