新型コロナ「完全な封じ込めはまず不可能」 米国立衛生研究所(NIH)の峰宗太郎氏の見解

米国立衛生研究所(NIH)・峰宗太郎氏(病理専門医)
米国立衛生研究所(NIH)・峰宗太郎氏(病理専門医)

 世界中で感染拡大が続く新型コロナウイルス。米ジョンズ・ホプキンズ大の集計では世界で334万人が感染し、死者は24万人に迫る勢いだ。新型コロナウイルスは今までのウイルスとどこが違い、急速に感染を広げていったのか。最前線で研究を続ける米国立衛生研究所(NIH)の峰宗太郎氏(病理専門医)にメールのやりとりで聞いた。(久保 阿礼、増田 寛)

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 電子顕微鏡でコロナウイルスを見ると、多くの突起がある。突起の先端部分が王冠(ギリシャ語でコロナ)や太陽の光冠のように見えることから「コロナ」と名付けられた。その大きさは1円玉の20万分の1。新型コロナウイルスは、当初は昨年末に中国湖北省武漢市の海鮮市場で発生したとされたが、現在は異論も出ており、詳しい状況は分かっていない。

 峰氏「新型コロナウイルスは、ヒトに感染する7番目のコロナウイルス。これまで確認されたヒトに感染するコロナのうち4種類は『普通の風邪』、残り2種類に感染すると、SARS(重症急性呼吸器症候群)とMERS(中東呼吸器症候群)を引き起こします」

 SARS、MERS、新型コロナは同じような特徴を持っているという。

 峰氏「(7種類の)コロナウイルスはいずれも、上気道(鼻から喉のあたりまで)感染を起こすということは共通しています。ですがSARS、MERS、新型のコロナウイルスは、気道感染から肺炎まで起こすような重症者が多く発生し、時に致死的となることが特徴的です」

 SARSの致死率(陽性者のうち死亡する割合)は9・4%なのに対し、MERSは34・4%と極めて高い。現段階で新型肺炎は3~4%程度とみられるが、症状が悪化するスピードはSARS、MERSより速いとの報告もある。また感染した自覚がないまま、感染を拡大させる“ステルス”性があるため、完全な封じ込めは難しいとの見方も出ている。

 峰氏「(新型は風邪の原因となる)4つのコロナウイルスと比べると重症化しやすいが、SARS、MERSのウイルスと比較すると、無症状、軽症の感染者が多いという特徴があります。感染した人が全員重症となれば医療機関を受診しますし、見つけやすいので治療や隔離がスムーズにできるのですが、軽症や無症状の人がいると発見が難しく、隔離などをできないうちに感染を広めてしまいます。新型肺炎は風邪より重く、SARSやMERSより軽いというものであり、このような特徴が対策を難しくしています」

 過去、世界規模で多くの感染症が流行した。新型コロナは「普通の風邪」のように人類と共存するのか。それとも、撲滅できるのか。答えはまだ見えない。

 峰氏「人類は免疫を持っていないので、自然に感染が終息して目立たなくなるには、免疫を持つ人の割合、集団免疫が相当にならないといけないという推測もあります(全人口の60―70%が感染し『集団免疫』ができる)。感染が発生しては対策が取られるという状態がある程度長く続くと考えられ、風邪のようにダラダラと共存することも考えられます。また、世界中に感染が広がっている状況では、SARSのような完全な封じ込めはまず不可能との見方もあります。ただ、ワクチンができれば、天然痘のように時間をかけて、撲滅することもできるかもしれません」

 ◆天然痘 紀元前から伝染力が非常に強く死に至る疫病と恐れられ、聖書や神話にも登場する。天然痘ウイルスによる急性感染症の一種で高熱、発疹が出て膿疱(のうほう)になる。英国の医学者エドワード・ジェンナーが18世紀後半にワクチンを開発。1978年、英国人女性が最後の犠牲者となった。80年、WHOは世界根絶宣言を出した。これまで根絶した唯一のヒト感染症。

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