タイガーマスク初登場、5・1は「ワールドプロレスリング」黄金時代の幕開け記念日だった…金曜8時のプロレスコラム

1981年5月1日付「報知新聞」テレビ欄より抜粋
1981年5月1日付「報知新聞」テレビ欄より抜粋

 テレビ朝日の新日本プロレス中継「ワールドプロレスリング」がBS放送(BS朝日)ながらも金曜夜8時のゴールデンタイム1時間枠に復活し、「ワールドプロレスリングリターンズ」として4月にスタートした。2冠王・内藤哲也と挑戦者・KENTAによるIWGPヘビー級、IWGPインターコンチネンタルダブルタイトルマッチなど、第1回から2月9日の大阪城ホール大会「THE NEW BEGINNING in OSAKA」が4週連続で放送された。

 そして本日5月1日の放送では、2月19日の東京・後楽園ホールでのタイガー服部レフェリー引退試合が放送される。この引退セレモニーには、長州力やザ・グレート・カブキら昭和の面々が登場するが、これではっきりしたことは、この番組は、あくまでもリアルタイムの新日本プロレスの放送であること。「リターンズ」の意味は地上波(現在はテレビ朝日の関東地区で土曜深夜2時から30分録画ダイジェスト)の「ワールドプロレスリング」に未公開部分と試合後のバックステージのコメントを加味して、2か月ほど遅れて戻ってくるということ。

 2・9大阪城ホールの会場でこの新番組が発表された時点で、昭和のファンを喜ばせる再放送リターンではないことは薄々感じていたが、それが確認できた。そして、昭和を期待して見に来た人向けに、こんなCMが流れている。

 「金曜8時世代に告ぐ。闘いのワンダーランド」として動画配信サイト「新日本プロレスワールド」が紹介された。橋本真也の「時は来た!」(1990年・東京ドーム)、ラッシャー木村の「こんばんは」(1981年・田園コロシアム)、アントニオ猪木の「やれるか、本当にお前」に藤波辰巳が解読不明のセリフ(モイスチャーミルク配合説も)で返す1988年の飛竜革命シーンが流れ、「47年間、8000本以上の動画が月額999円で見放題。いつ何時、どこにいても、あの興奮が甦る」と往年の名勝負映像が紹介された。

 金曜夜8時枠は、若い世代の入門編として用意されており、昭和プロレスを愛する“思い出最強世代”はネット配信へ誘導という構造だ。ここであらためて、懐かしの金曜夜8時の歴史を見てみよう。そもそもは、力道山時代に日本テレビ「日本プロレス中継」が、金曜夜8時のプロレス枠を定着させた。

 「ワールドプロレスリング」は、テレビ朝日の前身、NET(日本教育テレビ)が水曜日夜8時枠で1969年7月2日にスタートし、日本テレビが金曜夜8時枠から撤退した1972年に黄金枠に滑り込んだ。そして1986年9月19日の生中継を最後に金曜夜8時枠から撤退し、同10月から月曜夜8時に移行した(火曜夜8時などを経て1988年3月限りでゴールデンタイムから撤退)。

 金曜夜8時の「ワールドプロレスリング」は約14年間の文化だった。主役はもちろんアントニオ猪木。そして、その黄金時代と呼ばれたのが初代タイガーマスク(佐山サトル)がデビューした1981年からの約3年間だ。過去のテレビ欄をひもといてみると、初代タイガーマスクが東京・蔵前国技館でデビューした1981年4月23日の大会が放送されたのは5月1日だった。調べてみると今年の日付と金曜日が合致するのは、この1981年だけだった。

 4月23日は木曜日で直近の金曜日なら24日の放送のはずなのだが、この日のテレビ朝日はドル箱であるプロ野球・巨人のビジターゲーム(広島球場での広島戦)を抱えており、プロレス中継は休止となっていた。

 まだ黄金の虎覆面が確立されておらず、質素なマスクで登場したタイガーマスクは、ダイナマイト・キッドを相手にしたデビュー戦で、観衆を魅了し、ジャーマン・スープレックス・ホールドで完勝した。このフィニッシュ場面は前述のCMにも出てきた。そしてこの日のメインイベントは、アントニオ猪木とスタン・ハンセンとのNWFヘビー級選手権王座決定戦で、勝利した猪木がタイトル返上と封印を宣言した。世界統一のIWGPヘビー級王座構想をぶち上げた記念日となった。

 NWFヘビー、北米ヘビー(坂口征二)、北米タッグ(坂口、長州力組)などのチャンピオンベルトを返上、封印し、IWGPに一本化するという新日本プロレス10周年を記念した一大プロジェクトのスタート。この日のエンディングでは、猪木の過去のNWF戦(ストロング小林、アンドレ・ザ・ジャイアント、タイガー・ジェット・シン戦など)の名場面が流されたのだった。

 1981年5月1日付報知新聞のテレビ欄に目をやると…。裏番組はNHKが「NHKスペシャル」、日本テレビが「太陽にほえろ」(「死ぬなスニーカー」)、TBSが「2年B組仙八先生」、フジテレビが「時代劇スペシャル」、東京12チャンネル(現テレビ東京)が「プロ野球 ロッテ×日本ハム」(川崎球場)だった。

 「太陽にほえろ」のスニーカー刑事役は、山下真司だが、この回は殉職回ではなく、スニーカーは死なない。そして当時、社会問題の校内暴力をテーマにして話題を集めていた「3年B組金八先生」(第2作)が、この3月に終了していたことも、タイガーマスクにとって追い風になったことがうかがえる。

 「ワールドプロレスリング」の黄金時代が幕を開けた5月1日。今年はその1981年と同じ日付の金曜日が今年は続くことになる。興行中止でネタに苦慮していた金曜朝8時配信の当コラムにとっては都合のいい状況となった。(酒井 隆之)

コラムでHo!とは?
 スポーツ報知のwebサイト限定コラムです。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

格闘技

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請