【MLB】アフター・コロナの球界はどうなるか

 浮かんでは消える新プラン。開幕への見通し報道。今度は6月下旬または7月2日をメドに30球団を3地区に分けて100から110試合開催するというものだ。しかし、実現の可能性は極めて低い。確かにアメリカでは新型コロナウイルスの感染者数が横ばい、もしくは下落傾向を示している地域もある。一部の州では経済活動を再開した。とはいえ、専門家の多くは第2波の危険性から時期尚早を主張、その動きに懐疑的だ。難敵を甘く見てはいけないということなのだ。

 今回のパンデミックは人命を脅かすと同時に、人々の日常を一変させ、社会構造に劇的な変化をもたらす。アフター・コロナ時代はこれまでとは違う世界、社会になるだろうというのは、今や世界的な政治、経済、宗教などあらゆる分野の学者たちの共通認識だ。

 もちろんメジャーリーグが例外であろうはずはない。すでに、アマチュアドラフトが7月に延期され、指名選手は今年が5巡目、来年は20巡目までといった大幅な変更が行われる。そして、現在注目されているのがマイナーリーグ球団の削減と、それに伴う組織改革だ。これはもともと米大リーグ(MLB)とマイナーリーグ(MiLB)との間で取り交わされている協定が今シーズン終了後に切れることを前提にビフォアー・コロナの昨秋発表されたものであった。当初はマイナー160球団を40球団削減する大規模なものであったことからマイナー側や、フランチャイズ選出の上下議員の間で大反対が起こった。そして、激しい論争に発展していた。しかし、このコロナ禍で状況が一変、結局盤石な経済基盤を持たないマイナー側が運営に関しても大きく譲歩する形で削減案に合意する見通しとなった。これによって1990年以来の160球団体制からシングルAのショートシーズン22チーム、ルーキー級18球団、ダブルA級の2球団が削減され、独立リーグ2球団が新たに追加されて120球団体制になることが確実になった。

 こうしたマイナーリーグ改革は効率性を重んじるアストロズが主張したことに端を発したといわれ、実際に2年前から傘下の球団の整理に着手していた。「メジャーに上がれる素材があまりにも少ない。人件費の無駄」と強く訴える球団幹部がいたという話も伝わっている。

 もっともMLB機構の公式の主張は全く異なる。

 球団削減の狙いはマイナーリーガーの給料、遠征移動などの待遇改善、球場や医療施設などプレー環境の改善に取り組むために必要というものだ。

 いずれにしても、マイナー組織が大きく変わることは間違いない。もちろん、このドラスティックな変化は多方面に大きな影響を与えていくだろう。上をみればメジャーリーグ。アクティブロースターは今シーズンから1名増えて26名になるが、従来通りの40人ロースターとともに変更が出てくるかもしれない。下をみればコロナ禍に苦しんでいるドミニカ共和国や、事実上内戦状態に陥っているベネズエラにある野球アカデミーやサマーリーグとの構造、組織的変化がみられるかもしれない。

 さらに、このパンデミックによって人材発掘のグローバル戦略の見直しも迫られるだろう。

 BC(ビフォアー・コロナ)、AC(アフター・コロナ)の世界。私たちのいるウィズ・コロナ。

 新型コロナとの戦いは戦争に例えられる。(実際、アメリカの6万人の大台に迫った死亡者数はベトナム戦争の戦死者数を上回った)新型コロナが戦前、戦後と表現させる時代。その戦中にいる私たちはどんなベースボールの変化と変革をみることになるのだろうか。

出村義和(スポーツジャーナリスト)

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