特定非営利活動法人「日本レトロゲーム協会」は、1990年代に人気を呼んだ家庭用ゲーム機「スーパーファミコン」を16歳未満の子供がいる100世帯に無償提供する。外出自粛する子供たちへの“緊急物資”に、ネット上では大きな反響を呼んでいる。
98年から中古ゲーム店を営む同協会の石井豊理事長(47)が「この状況で外に出られない子供たちに、昔のゲーム機で遊んでほしい」と発案。約400台ある中古在庫から、「迅速に、完全な状態で出せる数」として100台を用意した。各日ボランティア5人ずつが手作業で計3日をかけて、付属品を含めてクリーニング。23日の午後10時頃にツイッターで企画を紹介すると、翌24日午後1時にはリツイートが1・5万を超え、約600件の応募メールが届いた。
同ゲーム機は1990年発売。現在はソフトが新品では発売されていないため、石井理事長は「遊びやすくて、夢中になりやすい作品」と、人気ソフトの「スーパードンキーコング」「ファイナルファンタジー6」も100個ずつ用意し、同梱(どうこん)した。親世代がかつて親しんだゲーム機を用意することで「親子で楽しむ時間にしてくれたらうれしい」と思いを語った。
26日に応募を締め切り、すぐに抽選で当選者を選定。「大型連休前には届いてほしいので」と27日朝には、ボランティア5人と発送を進める予定だ。「今のゲームだと映像がきれいだから、想像力を使うことがない。ドット絵のゲームは、十分感情移入ができる。想像力を働かせて楽しめるのが魅力だと思う。子供らの何人かでも、スーパーファミコンの良さをわかってくれたらうれしいですね」。自身が愛したゲームで、家庭に笑顔を届ける。(竹内 夏紀)