新型コロナの余波は国語にも…“3密”系の言葉に記者悩む

 収まる気配のない新型コロナウイルス感染拡大。この1か月ほど毎晩、京都で独り暮らしをする80代の母から電話がかかってくる。「今日の東京の感染者は〇人らしいよ。 大丈夫?」。朝から晩までテレビでコロナのニュースを見ているのだろう。数字など私より詳しかったりする。

 そして「お母さんもかからないよう頑張ってるから。本当に気をつけなさいよ」。娘を励まして電話は切れる。まだ“正体”の全貌が分からない憎きコロナ。恐怖と不安を抱えながら過ごす日々はメンタル的にも未知の疲労感だ。仕事に没頭しなければ、と思うが、やたらと気が散ってしっかり集中できない。

 2月末から歌舞伎を始め、舞台公演もストップしている。先週、歌舞伎座の前を通った。静まりかえった劇場ほど寂しいものはない。威風堂々とした雰囲気を漂わせていても、多くの人でにぎわってこそ生命力を放つ。

 最近、公演が再開したときのことをイメージする。「満員」「スタンディングオベーション」「拍手」「立ち見も出る盛況ぶり」…盛り上がっている様子を表現する言葉の多くが密閉、密集、密接の3密系だ。他にも芸能面の記事を書くとき「成功を誓ってがっちり握手した」「喜びのあまり、壇上で抱擁をかわした」など特に疑問を持たず、深く考えることもなく、その場の状況を客観的に“スケッチ”しようとしてきた。しかし催しの成功は、3密そろった中で生まれてきたことに今更のように気づく。

 しかし、これからは“密系”の言葉を使うとき、書く手が止まり、考えてしまうだろう。盛況は喜ぶべきものなのに、いま使うとなると、それぞれの言葉が持つイメージに“負の陰り”が混ざる。言葉も生き物ということだ。

 安心して帰省できる日はいつになるだろう。「GWはオンライン帰省で」などと言われている。しかし母はガラケーの通話ボタン操作だけでもいっぱいいっぱい。一人暮らしの高齢者にとってたやすいことでない。しかし近いうちに、母親にスマートフォンへの機種変更を勧めてみようか、と思い始めている。(記者コラム)

コラムでHo!とは?
 スポーツ報知のwebサイト限定コラムです。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

芸能

宝塚歌劇特集
NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 バックナンバー申し込み 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請