「お相撲さんマスク」で打倒コロナだ! 地域を支えるボランティアが「子供たちのために」2500枚

つくばみらい市に手作りマスクを届けたボランティアメンバーと小田川浩市長(右から3番目、同市提供)
つくばみらい市に手作りマスクを届けたボランティアメンバーと小田川浩市長(右から3番目、同市提供)

 大相撲力士は四股を踏み、邪悪なものを地面に押し込める―。古くから、言い伝えられることだ。力士が着用する浴衣。その生地で作られた「マスク」と聞くと、今や世界中を脅かしている新型コロナウイルスでさえ、撃退してしまいそうだ。

 今月15日。茨城・つくばみらい市に、力士の浴衣生地(反物)などで作られたマスク約2500枚が届いた。素材となった反物を提供したのは、同市内に部屋を構える立浪部屋。新型コロナ禍で同市でも深刻な問題となっているマスク不足に、一役買った。

 反物をマスクに仕立て同市に届けたのは、「つくばみらい市ボランティア連絡協議会」のメンバー約40人だ。同協議会の古舘千恵子会長は、今回のマスク作りの経緯を「今回こういうコロナのことで、『子供たちになんとかやってあげられることがあったらいいな』と言うことから始まりました」と、明かしてくれた。できあがったマスクは既に、市内の保育所や幼稚園に、配布されているという。

 マスクを作る上で最大の難所は、素材集めだった。「この時期、生地はない、ゴムはない、ミシン糸はない。生地を買いに行ったりゴムを探したり、本当に大変だったんですよ。1人2メートルしか(生地を)売ってくれないような状態だったので」と同会長。事情を聞きつけた小田川浩つくばみらい市長が、記念品として立浪部屋から贈られていた反物1反を使用していいかと部屋に尋ねた。師匠の立浪親方(元小結・旭豊)とおかみの市川美紗子さんはこの取り組みに賛同。今月6日に市役所を訪れ、追加で5反、生地を寄贈した。

 立浪部屋から生地が贈られて10日間でできた、約2500枚のマスク。買い出しなどの手間も考慮すると、実質1週間で作り上げたという。マスクを縫ったのは女性が中心。仕事や子育てを終えた年代が中心で、中には90代の人もいたという。古舘会長は「『昔取った杵柄』じゃないけど、お年寄りの方が裁縫が上手な人も多い。『ミシンがなくても手縫いでやるよ』と、手縫いでやって下さった方もいた。みんな子供たちのためと思って一生懸命やってくれましたよ」と話した。ちなみに男性陣は、買い出しや袋詰めを担当した。

 未使用の浴衣生地はまだ硬いため、反物で作るマスクは口に当たる裏地をガーゼ生地に工夫。「生地とかガーゼとか、みなさんウチにあるような物をかなり提供頂いた」。市民からの援助もあり、計2500枚の数になった。古舘会長は「いざとなると皆さん、一生懸命協力して頂いて。意外と(地元も)、捨てたものじゃないなと思いました」と、感謝を口にした。

 マスクを手にとった子供たちからの反響にも、表情が緩む。会長は「マスクが手渡った園児からも、お礼の電話が来ました。すごくいいと。普段身につけられないようなもので、『お相撲さんと一緒だー』なんて喜んでるという親御さんのお電話も、頂きました」と明かす。

 ただこれで終わらないのが、同協会のボランティアだ。「これから学校が始まったら、まずは小学1年生に行き渡るくらいを贈ってあげたいなということで、『やりましょうか』となっている」と会長。次なるマスク作りに励むため、動き出しているという。寄贈された反物は、全て使い果たした。マスク作りに必要な材料の寄付も、ドシドシ募集中だ。事実、このマスク作りがメディアでも取り上げられたことによって「まだ作るならウチにある生地をぜひ使って下さい」という連絡も来ているという。

 古舘会長によると、つくばみらい市では24団体、約200人のボランティアが各方面で日々、活動しているという。メンバーの高齢化も進み、若年層の登録者増加が最近では課題。「若い人も増えたらいいけど…。どうなんでしょうね」と、若返りも期待している。ただ今は、「一刻も早くコロナがおさまって欲しい」と同会長は願う。地域、そして子供を支える大人たちがいる。一致団結してコロナに立ち向かうこの「お相撲さんマスク」に、支え合いの暖かさを感じた。(大谷 翔太)

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