大林宣彦監督「観客が世界を幸せにする力を持っている」魂の叫び忘れない…映画担当記者が悼む

 広島県尾道市を舞台にした「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」の尾道3部作で知られる映画監督の大林宣彦(おおばやし・のぶひこ)さんが10日午後7時23分、肺がんのため都内の自宅で死去した。

 昨年11月1日、大林監督は車いす姿で第32回東京国際映画祭の舞台あいさつに登壇した。大きめのサングラスをしていたが、頬がすっかり痩せているのは遠目から見ても分かった。

 弱々しい様子は、マイクを持つと一変。「あと2000年、3000年は映画を作りたい。そうでないと私が映画を作っている意味がありません」「戦争を知っている私が、知らない若い人たちのために映画の学校で感動的な物語をお見せしたい」。司会者が進行しようとしても、持論を述べ続けた。会場で指名された外国人の観客が質問しようとしても、しゃべり続け、「私が質問する番です!」と突っ込まれた場面はハラハラしたが、迫力に圧倒された40分間の独演会だった。

 遺作の「海辺の映画館―キネマの玉手箱」は人生の集大成だ。大林監督は「映画は人ごとではない」「観客が世界を幸せにする力を持っている。それが映画の自由な尊さです。やり遂げなければいけません」とその日も力説した。観客は傍観者ではなく、映画を通じて触発されたら、自ら行動を起こせと呼び掛けた。あの日の大林監督の魂の叫びを、一生忘れないだろう。

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