五輪競歩表彰台独占できる…男子残り1枠、荒井広宙、丸尾知司らがハイレベルな争い

荒井広宙
荒井広宙

 12日に予定された陸上の全日本競歩50キロ輪島大会(石川)が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となり、1枠を残す男子50キロの東京五輪代表選考は来季へ持ち越された。同種目は、直近の19年ドーハ世界陸上で鈴木雄介(32)=富士通=が史上初の金メダル。日本勢の選手層が厚く、夏季五輪では49年ぶりとなる表彰台独占も期待される。スポーツ報知で評論を担当する15年北京世陸銅メダルの谷井孝行氏(37)が、激戦の残り1枠争い展望と、五輪本大会への可能性を語った。(取材・構成=細野 友司)

 五輪の1年延期に、選手たちの思いは様々だと思う。今は人命最優先で動かなければいけない時。競歩は元々試合数が多くないだけに、合宿やレース開催がままならない状況は厳しいが、アスリートも一人の人間として現状を受け止めないといけない。空いた期間をどのように考え、前向きに捉えるかが来年に持ち越された代表選考の行方を左右する。

 激戦の残り1枠は“2強”が軸。まず、リオ五輪銅の荒井広宙(ひろおき)は実績十分。19年全日本輪島大会以降50キロに出ておらず、レース勘が鍵になる。次に、ロンドン世陸5位の丸尾知司。日本歴代2位の自己記録を持ち、余裕と自信もある。19年輪島大会は3位、昨秋の全日本高畠大会も2位。1枠を争う選考会では「優勝するレース」をどう組み立てるかが注目される。対抗馬では、若手の野田明宏に勢いがある。勝負所で仕掛ける強さがあり、歩型も含め安定感を身につければ“2強”を崩して優勝も見えてくる。

 日本勢の層が厚い50キロは、国内の争いを勝ち抜けば五輪の表彰台にも近づく。世界王者の鈴木=写真右=と、3時間36分45秒の日本記録を持つ川野将虎=同左=が内定済み。残り1枠も世界レベルの力を持つ候補者がそろい、誰が決まってもメダルが期待できる。本大会のレース中でも、3人が近い位置で互いに刺激し合いながら歩ける。全員が力を出し切れば、表彰台独占も可能性が出てくるだろう。

 日本競歩界がここまで躍進した理由の一つには、ナショナルチームとしての強化合宿が挙げられる。13年頃に比べると、頻度は1・5倍くらい。参加人数も当時の倍以上の規模で行っている。力のある選手たちが情報交換をする場になり、五輪や世陸メダリストと間近で練習して力を体感することは、世界の表彰台を目指す上での明確な指標にもなる。日頃の練習も意識が高い中で行えるので、おのずと設定メニュー以上に質が高いものになっている。

 今後、五輪に向けて大事になってくるのは、本番から逆算して計画を立てつつ、うまくいかない時に臨機応変に対応すること。特に、注目度が高まる中での心の構え方が大切になってくる。

 ◆男子50キロの選考と他の競歩種目の動向 男子50キロはドーハ世陸を制した鈴木が内定1号。昨秋の全日本高畠大会を日本新(4時間36分45秒)で制した川野が2枠目を手にし、日本陸連も内定を維持する方針。3枠目は未定だが、世界陸連はコロナ禍により、今年11月末まで五輪予選対象期間を中断すると発表。来春の21年全日本輪島大会が主要選考会になるとみられる。男女20キロは各2人ずつが内定済み。残り1枠の行方は未定だが、男子3枠目は高橋英輝(27)=富士通=が濃厚となっている。

 ◆日本勢の五輪表彰台独占 夏季大会では5例。1932年ロス大会の競泳男子100メートル背泳ぎ(金=清川正二、銀=入江稔夫、銅=河津憲太郎)が初。他の4例は全て体操で、72年ミュンヘン大会では男子個人総合、平行棒、鉄棒の3種目で表彰台を独占した。冬季では、72年札幌大会スキージャンプ70メートル級での笠谷幸生ら“日の丸飛行隊”の1例のみ。

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