新橋で見た居酒屋が自主休業できないワケ

閑散とする新橋の居酒屋街
閑散とする新橋の居酒屋街

 今月7日、新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正特別措置法(新型コロナ特措法)の緊急事態宣言が発令された。居酒屋は強制的な休業を促されず、自主休業した際の補償金も給付されるか不透明な状況が続く。そのような状況でも、個人経営する居酒屋が立ち並ぶ新橋では、必死の生存戦略と共存計画が練られていた。

 創業9年目になる「串かつ団」は、通常であれば午後5時から翌朝5時まで営業しているが、今回の自粛要請で、営業時間は3時間だけに縮小。予約も昨年の10分の1に減ってしまい、やむなくランチタイムにも営業を始めたという。

 店主の団さん(30)はランチタイム営業を前向きに捉えており、「お客さんが来ないし、食品の在庫をなるべく減らしたいから、ランチタイムを始めてみました。そうしたら意外と楽しくてビックリです」と笑顔。「今までランチ営業なんて考えたこともなかったので、新しい世界が広がった感じがした」と逆境にも負けない。

 ただ、ランチタイム営業が、新型コロナウイルスで被った損害を穴埋めするにはほど遠い。「政府が補償してくれないから、生きるために営業している」というのが居酒屋の本音。さらに団さんは「ここで営業を辞めてしまうと、食品の取引先にも迷惑がかかってしまう」と話す。

 「運送業者は、今まで6人で各店舗を回っていたが、今は行く場所もないから1人になってしまった。店が仕入れをしなくなって、肉屋も売り上げが半分以下になったと聞きます。今までお世話になってきた業者さんの事を考えると、休業できないですよ。飲食業の職業ヒエラルキーは低く見られがちですが、いろんな人たちの雇用にもつながっています」

 資金力のある全国チェーンの飲食店は早々に休業を決めたところもある。そうした大手の対応ばかりに目が行き、「お客が来ないんだから、休業しても同じ。個人経営の店もさっさと休業すればいいのに」と思ってしまっていた。ただ、その土地に根付いてきた居酒屋は、長年の付き合いもあり、様々な雇用やビジネスを生み出していた。一刻も早い夜の飲食店の休業補償制度確立が必要だと改めて感じた。(記者コラム)

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