【羽生結弦の「カギ」】(終)四大陸選手権「もう少しだけ、この子たちの力を借りてもいいかな」

スポーツ報知
四大陸選手権で優勝し「スーパースラム」を達成した羽生結弦

◆四大陸選手権(2020年2月4日~9日、韓国・ソウル)

 羽生結弦(25)=ANA=が、平昌五輪で使用したSP「バラード第1番」、フリー「SEIMEI」にプログラムを変更して臨んだ大会で初優勝。男子で初めて、ジュニアとシニアの全主要国際大会を制する「スーパースラム」を達成した。SPは111・82点で、自身の世界最高得点を1・29点更新。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて3月の世界選手権は中止が決まり、四大陸選手権がシーズン最後の大会となった。

 ともにフィギュア史に刻まれる名プログラムを、羽生は再び演じる覚悟を決めた。きっかけは全日本選手権翌日の「メダリスト・オン・アイス」で「SEIMEI」を演じたこと。心地よさがいとおしかった。

 「なんか…もう伝説として語り継がれるような記録を持ってしまっている子たちなので、できれば寝かせてあげたかったんですけど。『メダリスト・オン・アイス』の時に力を借りた時に、ものすごく、自分でいられるな、って思って。それで…うん…もう少しだけ、この子たちの力を借りてもいいかなって思いました」

 久しぶりに無心で曲に入り込んだ。ピアノの旋律に溶け込む滑らかでよどみのない動き。羽生史上最高の「バラード第1番」に昇華させた。憧れのスケーターが築き上げた「秋によせて」と「Origin」への挑戦を経たからこそ、たどり着いた境地でもあった。

 苦しくもあったシーズンの最後となった大会で、自分らしさを取り戻した。迷いは消えた。「音楽との融合」という理想のフィギュアスケートの完成へ、羽生の道を行けばいい。(ペン・高木 恵、カメラ・矢口 亨)=おわり=

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