帝京大駅伝競走部・中野孝行監督、コロナに対抗「横のタスキを大切に」家族友人と連絡のススメ

帝京大駅伝競走部の中野監督兼部長は故郷の北海道に向けてエールを送った(カメラ・秦 雄太郎)
帝京大駅伝競走部の中野監督兼部長は故郷の北海道に向けてエールを送った(カメラ・秦 雄太郎)

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、北海道出身の指導者も葛藤を抱えながら戦っている。白糠町出身で帝京大駅伝競走部の中野孝行監督兼部長(56)は、現在、部員66人を抱える。自らスカウトした原石を磨きあげる“中野マジック”で、13年連続で箱根駅伝に出場している名将は、危機的状況でも、人と人のつながりの重要性を強調した。離れたところに住む家族、友人らと連絡を取り合うことの大切さを語った。(取材・秦 雄太郎)

 新入生18人を迎えた部員は、全員が寮生活です。今のところ3週間以上、外に行かせていないような状態。八王子キャンパス内の練習場と寮と食堂の移動だけです。部員で1人でも感染者が出たらアウトだと思っていますので、彼らも必死に注意してやってくれています。

 トレーニングは、集団走をできるだけ減らし、接触がないような個人走の形で行っています。部員は、朝と寝る前、必ず体温を測ってマネジャーに報告。熱がなくても体調が悪い場合は必ず報告させています。

 目指していた日本学生ハーフマラソン(3月、東京・立川市)も中止に。4月もレースがなくなった。全然先が見えなくて、本当にかわいそう。気持ちとしては、やらせてあげたい。4年生はこれで頑張って、就職につながる子もいる。だがこの状況で大会がやれるのかってところも、しっかり検証して今後を考えていかないといけません。

 私も通常なら3月はスカウト活動で月の半分以上は、全国の高校やいろんな大会を見に行くんです。でも、今年はゼロ。不要不急の外出はしていなくて、自宅と学校と練習場を往復するような感じですね。自分の健康がどうってよりは、学生たちのことがものすごく気になって仕方ない。夜9時過ぎとかにマネジャーから連絡が入ると本当に不安で…。そうしたら、何でもない連絡だったりして、それでほっとしたり。「連絡がないのは、元気な証拠」とはあるんだなって思いました。

 私は高校を卒業して北海道を出た。亡くなった両親には「連絡しろ」ってよく言われてたんですけど。先日も兄が釧路で一人暮らしをしているので、電話で「大丈夫かい」って聞いた。「大丈夫だよ。お前は大丈夫なのか」ってやりとりがあったりして。ただ「元気だよ」って一言言うだけで、みんな安心するんだと思った。今は周囲でいろいろ声かけあうことが、必要なのかなと思います。

 学生には「我慢じゃない。世の中の人を助けるためにお前たちは動かないんだよ」と伝えています。箱根駅伝を目指す学生は、ただ走るだけではなくて、人々の見本にならないといけないです。深い雪があればあるほど、春が来たときの喜びは大きい。今は本当に深い雪の中。春は必ず来ます。今は耐えて、やれることをやっていきましょう。(帝京大駅伝競走部監督兼部長)

 ◆中野 孝行(なかの・たかゆき)1963年8月28日、白糠町生まれ。56歳。白糠高から国士舘大に進み、箱根駅伝は1年時10区8位、2年2区16位、3年で4区3位、4年で2区8位。卒業後は雪印入社。95年三田工業女子コーチ、99年からNECコーチ、2005年11月に帝京大監督に就任。帝京大スポーツ医科学センター准教授。

 ◇帝京大駅伝競走部 1979年に創部した陸上部から99年に駅伝競走部として分離独立した。箱根駅伝には98年に初出場。13年連続21回の出場で最高成績は4位(2000、13、20年)。出雲駅伝、全日本大学駅伝はともに18年の5位が最高。タスキの色は銀に赤の縁取り。部員は66人。

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