2016年リオデジャネイロ五輪の自転車代表・窪木一茂(30)が、競輪選手に転向することが29日、分かった。既に26日に日本競輪選手養成所で「特別選抜試験」を受験。30日の入試委員会で合否が決まるが、合格は確実だ。合格すれば同試験で9人目となる。昨年は18年平昌五輪スキーモーグル銅メダルの原大智(23)=117期生として5月デビュー予定=が合格している。
自転車競技で日本を代表する男子中長距離のエースが、30歳にして大きな決断を下した。窪木は、26日に日本競輪選手養成所(静岡・伊豆市)で、特別選抜試験を受験。本人は、スポーツ報知の取材に「その件はノーコメントです」としたが、複数の関係者は「窪木くんには大きな期待を寄せている」と話した。合格すれば同枠で9人目となる。
窪木は日大在学中から注目された逸材。卒業後は和歌山県庁に入庁して競技を続けていたが、16年からプロになり、欧州を転戦。同年のリオ五輪は複合種目の「オムニアム」で出場し、14位だった。東京五輪の切符をかけた2月の世界選手権(ベルリン)では、チームパシュートで9位に終わり、五輪延期決定前の規定での出場枠獲得はならなかった。国内では18年の全日本選手権で6冠を達成したオールラウンドプレーヤーだ。
プロの競輪選手として賞金を稼ぎながら、オムニアムやチームパシュートなどのトラック種目で五輪も目指す窪木。この時期の転向について、同じ日大出身で、92年バルセロナ五輪に出場した競輪選手の先輩・小嶋敬二(50)は「24年パリ五輪、28年ロス五輪を目指すためにはいいタイミングだと思います。養成所に入所すれば、(自転車競技)ナショナルチームのベトゥコーチの指導もそのまま受けられますからね。日大の先輩としては、後輩が競輪選手として五輪を目指すのを応援したい」と話した。別の関係者も「30歳での転向だが、問題ないと思う。彼なら長く五輪競技と、プロの競輪を両立できる」と語った。
合格すれば、入所式は5月中旬の予定。卒業は21年3月だが、早期卒業制度があり、早ければ21年1月から、窪木の雄姿が競輪のバンクで見られる。
◆特別選抜試験 優秀な選手を養成するため、競輪選手としての資質豊かな者を広く募り、入学者を決定する。基準は五輪に出場してJKAが特に認めた成績を収めた者で、世界選手権に出場して8位まで、W杯やそれに類する大会に出場して3位まで。試験は書類選考、面接、作文など。適用1号は1998年長野冬季五輪スピードスケート・ショートトラック500メートル銅の植松仁(引退)。
◆窪木 一茂(くぼき・かずしげ)1989年6月6日、福島県古殿町生まれ、30歳。学法石川高から自転車競技を始め、日大に進学。大学卒業後、和歌山県庁に入庁。2015年に退職。16年リオ五輪の代表に選ばれ、オムニアムに出場し14位。172センチ、72キロ。血液型O。