葛西紀明、コロナに負けないレジェンド流“危機飛び越え”術

スポーツ報知
色紙を手にエールを送る葛西

 新型コロナウイルスはノルディックスキー・ジャンプなどの冬季競技にも影響を及ぼしている。同競技で30年以上、第一線で活躍する葛西紀明(47)=土屋ホーム=はW杯組復帰へ再起を図っていた矢先、3月中の国内大会が全て中止に。2児の父でもある“レジェンド”は例年以上に増えた調整期間をプラスに捉え奮闘。東京五輪・パラリンピックの延期が決まった選手や、臨時休校が続く子供たちにも「忍耐力」の大切さを訴え、エールを送った。(取材・川上 大志)

 感染拡大で様々な影響が出ているけど、真っ先に浮かんだのは「しょうがない」。見えないウイルスが相手ではどうすることもできない。うつむいても仕方ないし、今できることに全力を注ごう。素直にそう思った。

 今季は調子が上がらず、昨年末にW杯組から落選、今年2月には下部のコンチネンタル杯組も外れた。さあもう一度! という時にシーズンも終わってしまった(全日本スキー連盟が3月の国内大会中止を決定)。道内のジャンプ台も使えず、リッチ(リヒャルト・シャラート)コーチもオーストリアから来日できなくなった。

 予期せぬ時に何が出来るか。走ったり筋トレしたり、僕はひたすら家で体作りに励んできた。例年なら3月にシーズンが終了し、4月に状態を上げて5月から宮古島(沖縄)合宿の流れ。体重も6~7キロ増えた状態で合宿が始まる。でも今年は違う。今すぐ合宿でも大丈夫なほど、体は出来ている。「打ちのめされてもまだこれだけ頑張れるんだ」と、アスリートとしての熱量に自信も持てた。

 厳しい自主トレの支えが、家族の存在だった。料理上手な奥さんは「コロナに負けるな」って免疫力に効くニンニクたっぷりのメニューを毎日のように作ってくれて。あいさつ回りや講演会もほぼなくなってしまったぶん、誰かに会う心配も少ないから(笑い)。4歳の長女は一緒に散歩もしている。2人の子供のためにも手洗いやうがいは毎日入念すぎるほどする。家族の時間が増える今だからこそ、その大切さも再確認できるんじゃないかな。

 東京五輪・パラリンピックは延期が決まった。道内の学校も臨時休校や部活停止が続く。選手にも子供たちにも言えるのは「忍耐力を磨くチャンス」だってこと。もちろん、他人が簡単に言えないのは分かっている。でも「もっと練習できる。もっと強くなれる」と前向きに捉えることもできると思うんだ。僕自身も来季は勝負の年。回れたらコンチネンタル杯、選ばれなければ12月の名寄ピヤシリジャンプ大会(国内開幕戦)から。与えられた場所で文句ない結果を出してW杯に復帰、そして9回目の五輪となる22年北京五輪出場へ。目標があれば、どんな時間も無駄にはならない。僕も戦い続けるので、みんなでこのピンチを前向きに飛び越えていこう。

(土屋ホーム選手兼任監督)

 ◆葛西 紀明(かさい・のりあき)1972年6月6日、下川町生まれ。47歳。東海大四高(現・東海大札幌高)から地崎工業などを経て01年11月に土屋ホーム入社。当時19歳の92年アルベールビル大会から冬季五輪に史上最多8大会連続で出場し、94年リレハンメル大会団体銀、14年ソチ大会個人ラージヒル銀、団体銅メダル獲得。日本男子最多のW杯個人通算17勝も誇る。家族は妻・怜奈さんと長女、昨年12月に誕生した長男。176センチ、59キロ。

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