【楽天】涌井秀章「楽したい」新球シンカー習得で球数減らし200イニング登板目指す…横浜高の先輩・松坂と「投げ合いたい」

新天地での抱負を語った楽天・涌井(カメラ・長井 毅)
新天地での抱負を語った楽天・涌井(カメラ・長井 毅)

 楽天に新加入した涌井秀章投手(33)がインタビューに応じ、今季から投げる新球シンカー習得の背景を明かした。「球数を減らして長いイニングを投げたい」と「分業制」の時代にあらがう決意や横浜高の先輩、西武・松坂との投げ合いについても語った。(取材・構成=長井 毅)

 西武とロッテで計3度最多勝を獲得した通算133勝右腕が新たな目標を立て、楽天での歩みを始めた。過去に2度(07、09年)200イニングに到達。いずれも最多勝のタイトルにつながったシーズンの輝きを再び取り戻す。

 「200イニングは今の(分業制の)時代になると難しい。でも、それを目標にするということは先発としてしっかり投げるということ。目標としたい数字。しっかり1年間投げきることですね」

 16年の10勝(7敗)を最後に3年連続2ケタ勝利からも遠ざかっている。近年は思うような結果が残せていないが、体は全くさび付いてはいない。一方で白星への欲が増した。

 「体力的にきつい、というのはない。でも、最近は勝ち切れなくなっているから、精神的にきついです。昔だったら最後まで投げさせてもらえて、気づいたらチームが逆転してくれて、それで勝っていた。良い投球して勝つのが一番いいけど、勝ち負けつかずとか、悪い内容でも勝てば次のステップになる。先発投手は自分に勝ちがつけば良い薬になるというのを(ロッテにいた)ここ2、3年で実感しました」

 近年の球界は投手の「分業制」が一般的になってきた。その影響もあり、昨季パ・リーグで規定投球回(143イニング)をクリアした投手は、過去最少の6人。150イニング以上は有原(日本ハム)、千賀(ソフトバンク)、山岡(オリックス)の3人だけと、イニングを多く投げられる先発完投型投手が減少傾向にある。その時代の流れにあらがうためにも涌井は今季から新球シンカーを投げることを決めた。

 「毎年、いろんな人に変化球(の握りなど)を聞いていた。投手によって変化の違いとかがあるので(学ぼうとしている)。今年は小山さん(楽天投手コーチ)に聞いて、試合で投げられるイメージができた球だった。今までは投げていてもイメージがわかずに途中で断念していたんですけど、小山さんのシンカーはイメージしやすくて試合でぶっつけで投げて使えるか、使えないかを判断する。首脳陣の評価も良かったので練習していこうと思った。でも、覚えようと思った一番の理由は楽をしたいから。1球で終わるなら(その方がいい)。ゴロを打たせようと思って投げている。ストライクゾーンからちょっと逃げていく球で内野ゴロを打ってくれれば」

 1日のロッテとのオープン戦(ZOZO)で移籍後初の古巣相手の登板で4回2安打6奪三振1失点。シンカーも10球ほど投げて、試合で使えるめどが立った。

 「こういう時代だから、例えば100球で交代になる場合を考えないといけない。まだまだそこから投げられる投手もいるのにと思いますけど、もしそうなるのだったら1球でも少なくして長いイニングを投げたい」

 1球を削り出す作業の積み重ねが200イニングにつながると捉え、「年齢=能力低下」という評価を覆したい思いが強い。

 「年齢が理由で(力が)落ちて(イニングを)投げられないとか言われているし、それなら少ない球数で長いイニングを投げようと思うようになった。自分に対する評価? もちろん、いやいや(違う)と思っているし、則本昂ともそういう話はしている。自分のイメージって100球超えてからもスピードが上がる。(他球団の)どの選手に自分のことを聞いても、『まだ投げるのか』っていうくらいのイメージを持っていた。だからその評価を覆したいというのはある。首脳陣が『100球で交代』というのも同じですね」

 今季は自分のこととは別に楽しみもある。横浜高の先輩、松坂(西武)と投げ合うチャンスも現実味を帯びる。

 「投げ合う想像はしたことはないですね。そもそも日本に帰ってくると思っていなかったから。でも投げ合いたい気持ちはある」

 年齢を重ねても現役でい続けることを見ていて感じるものがある。

 「選手は(自分のことを)ボロボロになっているとかは思っていない。メディアが作り上げているもの。確かに球のスピードが落ちてはいるけど、それはけがして手術してからのモデルチェンジだから。松坂さんも『こういうのはやりたくない投球』と言っていましたけど、元々は変化球投手と松坂さんは言っている。野球選手のイメージは先発完投のイメージ。今でも投げ続けていったら、150キロとか投げられるかもしれないし、ボロボロとかは本人が決めること。メディアにも頭にきている部分はあると思う。メディアが勝手におもしろおかしくしているだけで。でも、松坂さんは注目される人だから、(批判など)そういうのは多少は覚悟していると思うけど。見ていて思うことは、やっぱり投げるのが好きなんだなと伝わってくる」

 6月で34歳。先輩の姿を見て、自身も年齢の壁を跳ね返したい気持ちが強まった。

 「プロに入った時の目標が50歳までやるというのがあった。当時は冗談で言ったんだろうけど、一つの高い目標として。それはずっと活躍していたらできると思うし、でも時代が許すのか、許さないのか。普通に40歳で(自分のプロ生活)が終わるとは思っていない。全然やっていると思う」

 西武、ロッテでは投手陣の大黒柱としてチームを支えてきたが、楽天に来て心境の“変化”も生まれた。

 「今まではチームのエースとしてやってきたけど、楽天に来て、則本昂がエースという立場なので正直肩の荷が下りた。でも、則本昂に勝てるようにやっていきたい気持ちもある。今年の1年はすごく大事になる」

 熱い闘争心は新天地でも変わらない。

 ◆涌井 秀章(わくい・ひであき)1986年6月21日、千葉・松戸市生まれ。33歳。横浜高在学中は、2003年センバツ準優勝。04年夏の甲子園8強。04年ドラフト1巡目で西武入団。07、09、15年に最多勝、09年には沢村賞受賞。08年北京五輪、09、13年WBC日本代表。13年オフに西武からロッテにFA移籍。19年オフに金銭トレードで楽天移籍。通算成績は417試合で133勝128敗37セーブ。185センチ、85キロ。右投右打。妻はモデルの押切もえ。年俸1億2500万円(金学は推定)。

 ◆涌井と球数 最多勝を取った07、09、15年と昨季を比較すると以下の通りとなる。

 ▽07年 シーズン投球回は213回で球数は3385球。1イニング平均は15・9球で1試合平均(9回換算)143・0球。

 ▽09年 シーズン投球回は211回2/3で球数は3555球。1イニング平均は16・8球で1試合平均は151・2球。

 ▽15年 シーズン投球回は188回2/3で球数は3127球。1イニング平均は16・6球で1試合平均は149・2球。

 ▽19年 シーズン投球回は104回で球数は1873球。1イニング平均は18・0球で1試合平均162球。

 07年と昨季を比べると、1イニング平均2・1球増えている。今季から投げるシンカーを駆使し、球数を減らしてイニング増を狙う。

野球

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 バックナンバー申し込み 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請