さらばWRESTLE―1、奇跡のカーニバルをもう一度…金曜8時のプロレスコラム

昨年大みそかの「WONDER CARNIVAL」でベルトを誇示した清宮海斗(左)と稲葉大樹
昨年大みそかの「WONDER CARNIVAL」でベルトを誇示した清宮海斗(左)と稲葉大樹

 武藤敬司会長(57)が創設したWRESTLE-1(レッスルワン、W-1)は、31日に全所属選手が退団し、4月1日の東京・後楽園ホール大会「WRESTLE-1 TOUR 2020 TRANS MAGIC」を最後に無期限の活動休止を迎える。その最終興行も新型コロナウイルス感染拡大の影響で、東京都・小池百合子知事から興行の自粛を求められており、やるせない終末となる。

 W-1は、2013年7月に武藤敬司が設立。同年9月8日に旗揚げ戦を行い、15年10月にはプロレスラーを養成する「プロレス総合学院」を設立し、選手を輩出してきた。17年3月には武藤が会長に退き、カズ・ハヤシ(46)が社長に就任して新たな体制で再出発したが、建て直すことはできず、7年の歴史に終止符を打つ。

 15日には東京・大田区総合体育館で最後のビッグマッチ「WRESTLE WARS 2020」が開催され、他団体に流出していたW-1王座をカズ社長が団体に奪還し、封印することを決めた。

 忘れられないのが、昨年大みそかにエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)で開催されたオールスター大会「WONDER CARNIVAL」だ。実はこの大会、諸事情があって空白になったある大みそかイベントの穴を、急きょプロレスの力で埋めようとW-1が尽力したのだった。

 準備期間のない中、全日本プロレスGMの秋山準(50)、世界タッグ王者の諏訪魔(43)、プロレスリングZERO1社長の大谷晋二郎(47)、DRAGON GATEのストロングマシーン軍団ら、8団体から50選手が集結した。文字通り“起爆剤”として、元参院議員の大仁田厚(62)による有刺鉄線電流爆破デスマッチも展開される、まさに奇跡のカーニバルだった。

 この大みそかは、WBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(31)=Reason大貴=のタイトルマッチが東京・大田区総合体育館で、総合格闘技の「RIZIN」が、さいたまスーパーアリーナで開催され、それぞれ、TBSとフジテレビが生中継する格闘技激戦区となった。お茶の間では、NHK「紅白歌合戦」と日本テレビ系「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」(絶対に笑ってはいけない青春ハイスクール24時!)が視聴率戦争を繰り広げた。

 「WONDER CARNIVAL」は、CSチャンネルのGAORAスポーツが生中継したものの、明らかな番外地で、記者も少なかった。大阪に帰省していた私は、試合前に大仁田にあいさつする目的で、このワンダーランドに迷い込み、メインイベントまで取材することになった。奇跡的に目撃者となった。

 メインは、当時WRESTLE-1無差別級王者の稲葉大樹(32)とプロレスリング・ノアの当時のGHCヘビー級王者・清宮海斗(23)の若きエースが、初タッグを結成し、芦野祥太郎(30)=WRESTLE-1=、中嶋勝彦(32)=プロレスリング・ノア=組を撃破。フィニッシュとなった稲葉の「タイガースープレックス178」を初めて見たが、ワンダフルな技だった。大みそかオールスター戦の大トリを飾り、リングで2つのチャンピオンベルトを輝かせた。

 そして稲葉は主催者W-1を代表してリングであいさつした。「大みそか、いろんな面白いテレビ番組とかイベントとかたくさんありますけど、これからも大みそか=(イコール)プロレスとなるように、僕ら頑張っていきますので、その時はまた来てください」と宣言した。

 マイクを稲葉に譲ってリングを後にした清宮はバックステージで「新しい景色を広めに来ましたが、その幅が、新しい価値の可能性が今日で広がったんじゃないですか」とコメントした。

 新年早々、清宮は1月4日に、稲葉は同12日に、それぞれの団体の後楽園ホール大会で、ともに王座を失った。プロレスリング・ノアは、IT大手のサイバーエージェント(藤田晋社長)の完全子会社となり、同じく傘下のプロレスリングDDT・高木三四郎社長(50)が社長を兼務することになった。そして、W-1は活動休止に。

 清宮が言った「新しい景色」は、良くも悪くも変化し続けている。稲葉が誓った、大みそか「WONDER CARNIVAL」という景色を、再び見ることはできるのだろうか。コロナ禍に揺れる2020年春だからこそ、輝かしい年末が待っていることを望みたい。(酒井 隆之)

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