朝乃山、口上に「愛と正義」「一生懸命」込めた昇進伝達式…満場一致で大関に推挙

若手力士らに担がれ、笑顔を見せる朝乃山(代表撮影)
若手力士らに担がれ、笑顔を見せる朝乃山(代表撮影)

 令和初の新大関・朝乃山(26)=高砂=が誕生した。日本相撲協会は25日、大阪市内で夏場所(5月10日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議と臨時理事会を開き、満場一致で昇進を承認。続けて、朝乃山は37年前の師匠・高砂親方(元大関・朝潮)と同じ大阪・久成寺で昇進伝達式に臨み、口上には母校・富山商高の教育目標である「愛と正義」、そして中学時代から自らを奮い立たせてきた「一生懸命」を込めた。新大関は昨年春場所後の貴景勝(千賀ノ浦)以来。

 午前9時19分。全会一致の推挙が報告された10秒間、朝乃山は使者をじっと見つめた。出羽海理事(元幕内・小城ノ花)と同じ高砂一門の審判部・千田川親方(元小結・闘牙)から吉報が伝えられると、深々と頭を下げ、軽く握った拳を地に着けた。「大関の名に恥じぬよう、相撲を愛し、力士として正義を全うし、一生懸命努力します」。顔を上げると、令和初となる大関の表情が和らいだ。

 口上の文言は、後援会と話し合いで決めた。母校・富山商高の校歌や教育目標にも使われる「愛と正義」を織り交ぜた。昨年末に同高同窓会から贈呈された化粧まわしにも刻まれていた言葉に「昇進が決まったときも考えはあった」という。

 実は春場所前の2月に帰郷した際、高校時代の恩師・浦山英樹監督(享年40)とともに指導を受けた中村淳一郎コーチ(35)らと、車中で口上の話題になった。中村コーチから「愛と正義」を提案され、「いや~」と笑みを浮かべていた。胸に秘めていた思いがあった。粋な口上に、同コーチは「あんな使い方するとは。かっこよすぎやな」と感銘した。

 中学時代から大切にする「一生懸命」は、角界入りの際にも口にし、ファンへのサインにも添える言葉だ。部屋の大先輩にあたる元横綱・朝青龍や、37年前に同じ春場所後に使者を迎えた師匠・高砂親方も伝達式の口上で用いた。緊張する弟子の横で師匠は「俺の時はどうやったかな」と思い出話。「(朝乃山の口上は)百点満点です」と笑顔を見せた。

 伝達式後、左手には17年1月に亡くなった浦山監督、右手には今年1月に急逝した近大・伊東勝人監督(享年55)の遺影を持った。天国で見守る2人の恩師に「更にもう一つ番付があるので、それを目指して頑張ります」と誓った。

 異例の無観客開催となった春場所でつかんだ夢。19年夏場所に初優勝した際、トランプ米大統領から賜杯を受け取り、一躍時の人となった。富山111年ぶりの大関となり、地元・呉羽地域の大横綱・太刀山の道をたどる26歳は「少しは太刀山さんに近づいている実感もある」。故郷愛にあふれる新大関が、思いが詰まった口上で新たな覚悟を示した。(竹内 夏紀)

 ◆朝乃山の大関昇進記録メモ

 ▽学生相撲出身 豊山、輪島、朝潮、武双山、出島、雅山、琴光喜に続いて8人目。

 ▽近大出身 1983年春場所後の朝潮(現高砂親方)以来2人目。

 ▽富山県出身 明治以降で梅ケ谷、太刀山(ともに後の横綱)に続いて111年ぶり3人目。

 ▽三役通過3場所 昭和以降8位タイ、年6場所制となった58年以降では照ノ富士の2場所に次ぎ、2位タイの速さ。

 ▽高砂部屋 02年名古屋場所後の朝青龍以来の新大関。

 ▽平成生まれ 照ノ富士、高安、貴景勝に続いて4人目。

 ▽三段目100枚目格付け出しデビュー 15年に導入の同付け出し資格でデビューした力士の大関昇進は初めて。

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請