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【高松宮記念 今週のキーマン】河内調教師&アイラブテーラーG1初勝利だ 父トーセンラー、富菜牧場、中西オーナーの夢叶える

しっかり間隔を空けてG1に臨むアイラブテーラー
しっかり間隔を空けてG1に臨むアイラブテーラー

◆第50回高松宮記念・G1(3月29日・芝1200メートル、中京競馬場)

 春のG1シーズンの開幕を告げる第50回高松宮記念(29日、中京)で、“名手”が“初制覇”を狙っている。騎手時代に歴代7位のJRA2111勝を挙げた河内洋調教師(65)は厩舎開業から15年、トレーナーとして、まだビッグタイトルを手にしていない。アイラブテーラーで臨む大一番を前に、松浦拓馬記者が直撃。自分自身と愛馬に加え、オーナー、生産牧場、種牡馬、5つものG1初制覇を目指す一戦を前に、今の思いを聞いた。

 ―アイラブテーラーが初のG1に挑みます。

 「中間は順調にきていますよ。牝馬で、(中10週と)ほどよく間隔が空いて、これくらいがちょうどいい間。毎回精いっぱい走るので、リフレッシュした方が力を出してくれる馬。放牧を挟んで1か月くらい在厩で調整をしてきました」

 ―4歳春を迎えてここまで7戦して5勝、2着2回。

 「しっかり成長して、安定した走りを見せてくれています。体質よりも、適した鞍(レース)に合わせて使ってきた。明け4歳になってパワーがついてきている」

 ―舞台は中京の1200メートル。左回りは初めてになります。

 「直線が長くなるし、(ここ3走の)京都より競馬はしやすくなると思う。左回りは問題はないし、初めて背負う55キロも気にはしていないよ。直線が長いぶん、先行勢はつらいと思うけど、この馬はどこでも競馬ができるようになっているからね」

 ―成長を感じるところは?

 「馬込みでもひるまずに競馬ができるし、いい根性を持っている。スピードがある馬で、いい素質を持っている。調教では少し前向きすぎるところがあって、4歳になってからは、さらにそこはパワーアップしているね(笑い)。追い切りはやれば、やるほど時計が出るからね。オーバーワークにならないように、調整していきたい」

 ―河内調教師は、騎手時代に高松宮杯(当時、芝2000メートル)を1986年にラグビーボール、88年にはオグリキャップ、89年にはメジロアルダンで制していますね。

 「勝ったレースは覚えてるよ。当時はG2だったけど、G1になってもおかしくないな、って思ってた。表彰式には高松宮さまがいらしていたし、赤いじゅうたんが敷かれてね。他の表彰式とは少し違ったよ。馬主も手袋して、握手とかしていたしね」

 ―オグリキャップは中央転入後、7月に施行されていた高松宮杯が初めて古馬との対戦でした。

 「オグリは中央に来たとき、腰が甘いところがあった。それでも乗っていくうちに改善されてきてた。当時はタマモクロス(88年天皇賞春、秋、宝塚記念V)が強かった。それでもオグリは互角にやれると思ったね(3度目の直接対決の有馬記念で岡部騎乗でV)。オールマイティーの馬だったし歳を重ねていいものができてきたね」

 ―騎手時代にはG1を22勝。調教師として初のG1制覇も狙えます。

 「チャンスはあると思う。ただ、G1ってのは騎手やってた時からも思っていたけど、全てがかみ合わないとなかなか勝つのは難しい。運もあると思うからね。何より、馬をしっかり仕上げていきたいし、ここが終着点ではない。この強いメンバーの中でどれだけやってくれるかでしょう」

 ◆河内 洋(かわち・ひろし)1955年2月22日、大阪府生まれ。1974年に武田作十郎厩舎から騎手デビュー。騎手時代にはメジロラモーヌで「中央競馬史上初の牝馬3冠」を達成するなど“牝馬の河内”として名をはせた。調教師試験合格後、03年2月に引退。騎手として歴代7位のJRA2111勝(重賞134勝うちG1・22勝、グレード制導入前含む)。05年3月に厩舎開業後、JRA316勝。重賞は09年札幌記念(ヤマニンキングリー)など6勝。

<トーセンラー産駒2頭目のG1挑戦> トーセンラー産駒にもG1初制覇がかかる。27頭しか血統登録されていない現4歳世代の初年度産駒から、昨年の菊花賞(ザダル)に続き、アイラブテーラーが2度目のG1出走。けい養先のレックススタッドの石川氏は「数が少ない中から出てくれたのは種牡馬の能力が高いからだと思う。走る種馬の産駒は距離や芝、ダートに関係ないからね」と力を込めた。

 腰部が弱く、供用開始から2年間は苦労した。治療を重ねながら、通常は1日に3頭に行う種付けを1頭に制限。2年目の産駒は19頭まで減った。しかし、3年目からは改善され、産駒数も40頭台に増加。これから飛躍する種牡馬に「種付けのシーズンですし、子どもがG1を勝ったとなると、みんな見ていますからね」と石川氏。13年のマイルCSを制し、同年の天皇賞・春2着、11年菊花賞でも3着に奮闘した万能型のトーセンラーの血が尾張の電撃戦で騒ぐ。

<富菜牧場ゆかりの血統で13年ぶり大舞台> 北海道浦河町の富菜牧場にとって13年ぶりのG1となる高松宮記念。アイラブテーラーは祖母タケショウティアラから約20年受け継いできた牧場ゆかりの血統だ。富菜綾乃さんは「一族の勝ち上がり率は高くて、いつか大物が出ないかと思っていました。我慢してきたので、出てほしいですね」と期待した。

 子馬時代から才能を感じさせた。1歳夏のセリ会場で「普通は10分くらい暴れたら疲れて諦めるけど、この馬は20分くらい抑えないといけなかった。身体能力は高いと思いましたね」。気の強い性格も昔からだという。

 両親と3人で8頭の繁殖牝馬を管理する小さな牧場。近年はツイッターを使ってファンとのつながりを重視する。4歳馬のG1初挑戦に「オーナー(中西浩一氏)がプレゼント企画をやって下さって、ファンの方も応援してくれる」とやりがい十分。小柄な牝馬に多くの期待がかかっている。(牟禮 聡志)

<取材後記>

 昭和の時代から名ジョッキーとして、中央競馬をけん引してきた河内調教師。昨年、凱旋門賞3連覇に挑んだエネイブルについて尋ねる機会があった。「牝馬というのはレース間隔が非常に難しい。休みすぎると母性が出るし、短すぎても駄目。その母性は調教では一切わからない。レースで走って急に出てくるんだよ」と教えられた。数々の名牝にまたがってきただけに、河内師にしかわからない牝馬独特の感覚があるのだと悟った。

 競馬を離れれば、豪快でおしゃべりなおじさん。そば焼酎が大好きで、行きつけの店には必ず置いてある。桜花賞4勝など“牝馬の河内”が大事に、そして丁寧に、適鞍を選び抜き、力を付けてきたアイラブテーラー。「ほどよい間隔」で大舞台へ挑む。数々の大レースを制した名手が、29日にトレーナーとして初G1を飾り、豪快な祝杯をあげたい。(松浦 拓馬)

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