【森永卓郎の本音】ランダム調査で市中感染率把握を

森永卓郎氏
森永卓郎氏

 「新型コロナウイルスによる日本の死亡率は、武漢を超える」と言ったら誰が信じるだろう。しかし、これは事実だ。厚生労働省の発表によると、3月19日現在の国内感染者数(クルーズ船やチャーター機帰国者を除く)は892人で、そのうち死亡者は31人だ。つまり、感染者に対する死亡者の比率は3・5%ということになる。WHOが今月発表した武漢市の死亡率は、3・4%だ。また、医学誌ネイチャー・メディシンに掲載された研究結果によると、より精緻なデータに基づいて武漢市の死亡率を再計算すると、1・4%となったという。つまり、新型コロナウイルス感染による死亡率は、日本のほうが2倍以上高いのだ。

 武漢市では、医療崩壊が起きた。それに対して医療技術が高く、パニックも起こしていない日本で、武漢市よりもずっと死亡率が高いというのは、普通に考えたら、あり得ない。もちろんここには、カラクリがある。感染者数が過少推計されているのだ。

 日本でPCR検査が行われるのは、濃厚接触者と極めて重い症状のある人だけだ。実際、医師が「検査が必要」と診断して、保健所に検査を依頼しても、帰国者・接触者外来に回してもらえる確率は、5%以下だ。そのため感染者が大量に隠れている可能性が高いのだ。

 あやしい点は、もう一つある。感染発覚当初から、感染症の専門家がランダム調査をして、市中感染率を把握すべきだと指摘してきた。しかし、その提案は無視されつづけている。

 政府の専門家会議は19日、「国内の感染状況は引き続き持ちこたえている」とした。なぜ実態も調べずにそんなことが言えるのか。1000人程度のサンプルなら調査は1日でできるし、医療崩壊も起きない。いますぐ調べるべきだろう。(経済アナリスト)

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