掛布雅之さん、ロッテ・鳥谷に「現役続行正しかった」…猛虎レジェンド対談

和やかな雰囲気で対談する鳥谷(左)と掛布雅之・阪神レジェンドテラー
和やかな雰囲気で対談する鳥谷(左)と掛布雅之・阪神レジェンドテラー

 阪神から戦力外通告を受けてロッテに新加入した鳥谷敬内野手(38)と、阪神レジェンドテラーの掛布雅之氏(スポーツ報知評論家)の猛虎レジェンド対談が実現した。掛布氏はロッテ浦和球場で20日の2軍練習試合(対楽天)を視察し、新天地での活躍に太鼓判。鳥谷は折れない心で準備してきたものを「今から見せていく」と力強く語った。(取材・構成 島尾 浩一郎)

 鳥谷「今日は、わざわざ浦和まで来ていただいてありがとうございます」

 掛布「試合を見させてもらったけど、若返ったね。ロッテのユニホームも違和感ないし」

 鳥谷「若くはないですよ」

 掛布「いやいや、動きが若い。いち野球ファンとしてはユニホーム姿を見られてうれしいけど、阪神OBとしては果たしてこれで良かったのかと、ちょっと複雑。ただ、現役続行の選択は正しかったんだなと感じた。楽しそうに、野球小僧のようにボールを追いかけている」

 鳥谷「プロに入った時と同じような気持ちです。グラウンドにいるのが当たり前だったのが、試合に出られなくなったり、新しい(働き)場所が決まらない状況となり。今は毎日グラウンドに立てて、対戦できている。それが本当にありがたいです」

 掛布「鳥谷にベンチは似合わない。グラウンドでボールを追いかけている、打席に入っている鳥谷が鳥谷なんだなと感じた。ここ最近はすごく我慢したシーズンを過ごした。そのあたりの心境はどうだったんですか」

 鳥谷「どういう結果でも出られないと分かった中で日々を過ごすしんどさはありました。去年もスタメンで出られる可能性はほぼないと分かった中で、スタメンで出るために自分で考えながら準備をしていた。そのおかげで今、しっかり動けているというのがあると思います」

 掛布「2月に電話で話した時には、まだ移籍先が決まっていなかった。実際に辞める選択肢もあったの」

 鳥谷「年内で(獲得に名乗りを上げる)可能性がある球団がなければ第一段階としてはあって。そこではあったので、キャンプ(イン)までと考えました。そこでも可能性があったので、キャンプが終わるまでに(話が)あればと。それでも決まらない状況で。当然、開幕1週間ぐらい前で(話が)なければ、完全に引き際だなと考えて生活していました」

 掛布「ロッテからの話を受けた時は、素直に飛び込んで野球をやろうとなった」

 鳥谷「その日をひたすら待って準備をしていました。声をかけてもらった時は感謝しかなかったですね」

 掛布「阪神と比べる必要はないけど、ロッテは空気感など違いますか」

 鳥谷「全然違いますね。雰囲気というか、当然マスコミの数も違いますし。環境も全然違いますし。若い選手が自分の個々のレベルアップに集中している。そこらへんの違いは感じます」

 掛布「背負っていた大きな荷物をひとつ降ろし、野球を楽しむ姿を感じました」

 鳥谷「試合の感覚だったり、課題が見つかったりとか、それなりに感情が動く場面がたくさんあるので充実しています」

 掛布「それはゲームに出ないと分からない感覚だよね」

 鳥谷「練習でいくら良くても、試合で感じたり感情が動かされるのが野球の醍醐(だいご)味だと思います」

 掛布「そういう話を聞いていると、ここ何年かはあらためて精神的にきつかったんだなと感じる。阪神から『ユニホームを脱いでください』と言われた時に自分の感情は抑えられましたか」

 鳥谷「しょうがないなというか。球団の方からはユニホームを脱ぐという選択肢しかなかった。そこでコーチをやってくださいとか違う話があれば迷ったかもしれないですけど。自分の体の現状を考えたら、まだできると思っていたので、このまま辞めるという選択肢はないと」

 掛布「本当にここ何年間は苦しい状況で野球をやっていた」

 鳥谷「そこに対してどうこう言うより、その間、気持ちを切らさずできた。そのことを今から見せていく思いでいます」

 掛布「試合を見ていて、まだまだできるという印象を受けましたが、今後の野球の人生設計は考えてますか」

 鳥谷「ボールを投げられなくなったり、走れなくなったりを感じたら当然、辞めなきゃなというのはある。辞めてから何をするというのは全然考えていないです」

 掛布「家族と離れての単身生活はどうですか」

 鳥谷「一人の時間が多いので。トレーニングをしたりとか、野球のことを考えている時間がたくさんあるという意味では、いいのかなと思います」

 掛布「こうして話を聞けて、笑顔を見て安心しました。心配した時期もありましたが、グラウンドでの動きを見ても、鳥谷は鳥谷だったなと確信しました。あらためて、折れなかった心の源は」

 鳥谷「自分が動けるというのがあった。去年も試合に出る人より(練習などで)自分が一番動いていた。家族もまだ続けてほしいという話もあった。その時期が来るまでは、準備をした方がいいと」

 掛布「これが本当の強さだと思う。例えばイチローも去年の開幕戦に備えて、一人でずっと準備していた。それは彼しかできないこと。それが鳥谷もできる。そこが一番すごい。ロッテにもいい影響を与えると思う。でも、その影響よりも鳥谷自身の野球を期待しています」

 鳥谷「ありがとうございます」

 ◆鳥谷 敬(とりたに・たかし)1981年6月26日、東京都生まれ。38歳。聖望学園から早大を経て、2003年ドラフト自由枠で阪神に入団。04年9月9日のヤクルト戦から18年5月27日の巨人戦まで、歴代2位となる1939試合連続出場。12年から16年にかけては歴代4位の667試合連続フルイニング出場を果たした。17年には通算2000安打を達成。11年に最高出塁率、ベストナイン6回、ゴールデン・グラブ賞5回。180センチ、79キロ。右投左打。

 ◆取材後記 阪神の生え抜きの「顔」として活躍した2人は、同じ道を歩んだ者しか分かり合えないシンパシーがある。ストイックな「野球愛」も共通項。新天地のグラウンドに立つ鳥谷からは、攻守交代の切り替えにも弾む気持ちが伝わってきた。誰よりも速いダッシュでベンチに戻り、一番先に守備位置に就く。印象的だったと伝えると「阪神の時からそうなんですけど(その方が)打席に向かう準備も早くできますし。ずっと143試合出て、イニング間にダッシュできたら人より1000本ぐらい多くできる」と答えた。遊撃手としての出場数は、巨人・石井琢朗野手総合コーチの歴代最多1767試合まであと「6」。頂を超える準備はできている。

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