聖火がギリシャから日本に引き継ぎ「希望の道を、つなごう」…20日に宮城に到着

 東京五輪の聖火を日本の大会組織委員会に引き継ぐ式典が19日、ギリシャ・アテネのパナシナイコ競技場で行われた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で規模は大幅に縮小。日本からの代表団は参加を断念し、ギリシャ在住で1996年アトランタ五輪競泳代表の井本直歩子さん(43)が聖火引き継ぎの代役を急きょ務めた。聖火は20日に空路で宮城県に到着。宮城、岩手、福島の3県で「復興の火」として展示後、26日の福島・Jヴィレッジから予定通りの日程で国内聖火リレーがスタートする。

 閑散とした無観客のスタジアムに強い風が舞った。風にあおられ、暴れる聖火が、日本に運ばれるランタンにようやく移り、前日に急きょ引き継ぎの代役に決まった井本さんが受け取ると笑顔が出た。

 世界中で猛威を振るう新型コロナの影響で、引き継ぎ式は当初予定より全体で約1時間も短縮。終息が見えない不安の中で、選手から反発の声が上がってきた。井本さんに聖火を引き継いだギリシャでの最終聖火ランナーは、「IOCは私たちの健康を脅かしたいのか」と非難した陸上女子棒高跳びの金メダリスト、エカテリニ・ステファニディ(30)=ギリシャ=だったが、予定通り最終走者としての務めを果たした。

 12日の採火式後に始まった聖火リレーは04年アテネ五輪女子マラソン金メダリストの野口みずきさん(41)ら聖火ランナーが走ったが、翌日に中止。この日の引き継ぎ式も本来は、柔道男子の野村忠宏さんとレスリング女子の吉田沙保里さんが務める予定だったが、EUが新型コロナウイルスの感染抑制を目的に入国制限を強化したため断念した。

 式典の中でともにビデオスピーチを行った組織委の森喜朗会長は「組織委は政府、東京都としっかり連携し予定通り着実に準備を進めていく。聖火リレーのコンセプトは『希望の道を、つなごう』。聖火リレーによって日本各地の人々の心に灯がともり、その思いが地球上に垂れ込めている暗雲を振り払い、世界の人々が心待ちにしている感動につながることを期待している。7月24日、東京の新しい国立競技場に必ずこの聖火がともされることを誓う」とメッセージを送った。

 五輪開幕まであと126日。ランタンに入った聖火は、アテネ空港から特別輸送機「TOKYO2020号」で空輸され、20日に野村さんと吉田さんが参加し、到着式の行われる宮城・航空自衛隊松島基地に着く。

 ◆急きょの出番に「えー?」

 新型コロナウイルス感染拡大で日本の代表団が渡航を断念し、急きょ出番が回ってきた井本直歩子さんは「連絡を受けたときは頭が真っ白になった。『えー?』と叫んだ。終えてほっとしている」。大役を全うして笑顔を見せた。

 1996年アトランタ五輪競泳女子800メートルリレーで4位入賞の元トップ選手。国連児童基金(ユニセフ)職員としてギリシャに在住し、難民の教育支援に携わっている。「今後どうなるか分からない状況で選手は頑張っている。聖火は希望の象徴。問題が一日も早く解決するようにと、希望の気持ちを聖火に託した」と思いを語った。

 吉田沙保里さん「私にとって2004年のアテネ大会は思い出深く、現地で聖火を見ることをとても楽しみにしていたので、今回は出席できずとても残念です。しかし、いま、まさに東京オリンピックに向けて頑張っている世界中のアスリートたちがいます。そんなアスリートの思いも乗せて、この聖火が日本中をかけめぐると思うととても楽しみです。HOPE LIGHTS OUR WAY!(希望の道を、つなごう)」

 野村忠宏さん「アテネでの引き継ぎ式に出席できなかったことは非常に残念ではありますが、今まさに五輪の聖火が日本に向かうことを大変、誇りに思います。五輪のシンボルである聖火を掲げることによって平和、団結、友愛といった五輪の理想を体現し、日本、世界をつなげていきたいです。HOPE LIGHTS OUR WAY!」

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請