小池修一郎氏「よくもここまで自分を熟成させてくれた」…宝塚雪組トップ・望海風斗に感謝感激

雪組「ワンス アポン ア タイム イン アメリカ」第1幕ラストシーンの望海風斗(C)宝塚歌劇団
雪組「ワンス アポン ア タイム イン アメリカ」第1幕ラストシーンの望海風斗(C)宝塚歌劇団

 新型コロナウイルス問題で、まだ先行きが不透明なエンタメ業界。宝塚歌劇も公演中止→再開→また中止と、てんやわんや。宝塚大劇場の花組と東京宝塚劇場の雪組は、21日までの公演中止延長が発表された。

 本拠地千秋楽開催に世間から非難の声が上がった星組と、まだ開幕もできない花組はともに新トップスターのお披露目公演。晴れの記念ステージで、チケットを持っていた方は本当に気の毒だが、雪組ファンの落胆はそれ以上かもしれない。

 トップコンビの望海風斗(のぞみ・ふうと)と真彩希帆(まあや・きほ)は今年10月11日で退団。一公演一公演が、卒業に向けた貴重な時間になる。22日の千秋楽実施も現時点で未定。「ワンス アポン ア タイム イン アメリカ」が2度の中止に泣いた“悲運の名作”として記録されるのは何とも切ない。

 望海のトップとしての代表作は、下級生時代からの主演の夢をかなえた「ファントム」が挙がるが、望海オリジナルならば、この「ワンス―」になるだろう。「見事。円熟の極み。十何年とかけて彼女が築いてきたものがフルに発揮されている」と称賛したのは、脚本・演出を手掛けた小池修一郎氏。コロナ騒動どころか、望海の退団発表よりも前に取材した時の発言だが、望海への信頼感が言葉の端々にあふれていた。コロナ騒動で、記事化するタイミングを逃していたが、あわててここで紹介する。

 セルジオ・レオーネ監督、ロバート・デ・ニーロ主演で1984年に封切られた映画の世界初のミュージカル化で「公開されて間もないころから、舞台化したいと思っていた。雰囲気が好き」(小池氏)。「カステル・ミラージュ」(01、02年)や「アデュー・マルセイユ」(07年)でもマフィアもののテイストを織り交ぜていたが、望海の1本立て作品を準備するにあたり「この作品そのものをやろう」と決意。昨春に複雑な権利関係をクリアした。

 映画では、主要人物が数々の犯罪に手を染めるが、舞台では最小限に整理。「タカラヅカですから『清く正しく―』とはかけ離れているかもしれないが、登場人物は悪たらんとして悪であるわけではない。素材としてマフィアものは単純に言ってカッコいい。望海のダンディーさを、存分に見せられるのではないかと。一つの挑戦でした」と小池氏。

 その代表的なシーンが、第1幕のラスト。真っ赤なバラが飾られたホテルの一室で、ヌードルス(望海)が恋焦がれたデボラ(真彩希帆)を求めようとする場面だ。映画では車内レイプという目をそむけたくなるシーンだが、タカラヅカ版は“愛の苦悩”の名場面に見事に昇華させた。

 「(ファンに)すごく喜んでいただいている。男女の俳優さんだとハラスメント的になるところだが、タカラヅカの美学というか、感情の高揚から爆発への説得力を持たせるのは大変。男の愚かな行動、ある種あられもない心理さえカッコよく、フラれて逆切れするところまで魅力的に演じるのはなかなかできない」と小池氏は感嘆。望海の同期で、前花組トップスターの明日海りおは観劇して「男役魂が燃えた」と話していたという。

 記者は「再演の可能性は?」と聞いてみた。「それは決まっていませんし、作品がどこまで評価されるか分かりませんが、とにかく(演者に)キャリアが相当ないとできないと思います。逆に言うと、本当に望海は、よくここまで自分を熟成させてくれた。それがうれしいし、研さんの積み重ねに感謝します」。巨匠にここまで言わしめた望海の、そして宝塚の底力を世間に示すためにも、早いうちにNHK、もしくはスカパー無料放送の日にCS・タカラヅカスカイステージで放送してみてはどうだろうか。JCSI(日本版顧客満足度指数)で毎年上位の宝塚だからこその懐の深さを見てみたい。(記者コラム・筒井 政也)

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