14年ぶりに西武へ復帰した松坂がヤクルト戦に登板し、3回1安打無失点の好投。西武復帰後初のメットライフでの登板で、同僚のニールから教わった新球も駆使し、開幕ローテ入りをほぼ手中に収めた。チームは08年以来となる首位でオープン戦を終えた。
ファンが心待ちにした瞬間が訪れた。6回、西武のユニホームをまとった松坂がゆっくりとマウンドに向かった。西武投手としてメットライフのマウンドに上がるのは06年10月7日以来だ。「この時期なので(気持ちは)特にないけれど、公式戦になれば、また違う」
さすが、怪物だ。先頭の山田哲からカットボールであいさつ代わりの空振り三振。いずれの回も四球を出しながら、3回48球の無失点投球。最速は139キロだった。「フォームや球種の精度の確認。ここまで順調にきている。少しずつだけど、前進している」。マウンドでは表情が変わらなかったベテランも、ベンチでは安堵(あんど)の笑みを浮かべた。
キャンプインから、100球超えのブルペン投球、打撃投手登板など順調に調整を続けてきた。今季3度目の実戦登板で初めて得点を許さず。開幕ローテ入りへの最終チェックと位置づけられたオープン戦最終日の登板で、結果を残した。辻監督は「上出来。順調なペースでやってきて、よくなっている」。西口投手コーチは「ランナーを出してから、タイミングを変えたり、工夫していた。(今後は)先発として投げる機会を設け、先発として使っていく」と評価した。
1週間ほど前、来日2年目右腕・ニールが投げている沈む球「スプリットチェンジ」を見て、ニール独自の握り方や投げ方を参考にした。南郷キャンプでもブルペンをのぞく姿が見られ「人が投げているのを、見るのが好き」と野球少年のような探究心を持つ39歳。この日は8回2死一塁、村上を、この新球で空振り三振に抑え「実戦で投げるのがいい練習。自分に合う投げ方を考えながら握りを変えたりしている」と自分のものにした。
チームはオープン戦を08年以来の首位で終えた。この年はリーグVと日本一になっている。当時Rソックスに在籍していた松坂。新型コロナウイルス感染拡大により、開幕日は未定。今後の調整も難しいが「プラスに捉えて、いい状態で入っていける時間の使い方をしたい。(無観客試合で)今は画面を通してしかプレーを見せられないけれど(終息した時には)早く球場に来て、声援を送ってほしい」とプロ野球が平穏に開幕することを願っていた。(森下 知玲)