J1清水エスパルスMF金子翔太主将(24)が11日、東日本大震災の被災者の思いを胸にプレーすることを誓った。チームは約1時間半、三保で調整。震災当時は中学3年でJFAアカデミー福島に在籍していた。Jリーグは新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、中断期間を延長し、4月3日の再開を目指すこととなった。清水イレブンは延期の動揺を抑えつつ、同4日の鳥栖戦(駅スタ)に向け、練習に励んでいく。
澄み渡った遠くの空を見つめた。金子は「(震災から)もう9年ですか。(練習場所だった)Jヴィレッジも(昨年4月に全面)再開した。常に福島のことは考えている」と話した。東日本大震災は、中学の卒業式直後、Jヴィレッジ近くの寮に帰ったときに起きた。「卒業DVDを見ているときに揺れたことを鮮明に覚えている。スタッフの方が『隠れろ』と叫んでいた」と振り返った。
金子はその後F東京、栃木の下部組織などで練習し、JFAアカデミー福島は現在も活動する静岡県御殿場市に移転した。「縁あって清水でプレーしている。僕も1児の父親にもなり、今年で25歳になる。何不自由なく、サッカーができていることに感謝したい」と感慨深げに語った。
9日に公式戦の再延期が決まり、清水は最短でも鳥栖戦(4月4日)まで公式戦がない。「週末に試合があることが楽しみであり、モチベーションだった。1か月の中断は長い」と調整の難しさを口にした。だが開幕から公式戦2連敗だったこともあり「クラモフスキー監督の戦術は深くて、未完成の部分が多い。中断期間で完成度を高めることが今年の鍵」とネガティブなことばかりではない。
11対11のゲーム形式の練習では3トップの右。ペナルティーエリア外から右足シュートを決めた。MF西沢健太(23)にアシストもした。「オフが少なく疲労もあるが、新しいことにトライする」とチームを引っ張る覚悟を示した。今季から主将を務める男が、再び試練を乗り越える。(山田 豊)