光る村井チェアマンの迅速対応 Jリーグ再開へ、1万3421字からにじみ出るリーダーシップ

記者会見する村井満チェアマン
記者会見する村井満チェアマン

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、Jリーグの対応は実に迅速だ。村井満チェアマン(60)のリーダーシップが光っている。

 2月24日に政府が「この1、2週間が瀬戸際」との声明を出すと、翌25日には関係各所との調整をすませ、3月15日までの全公式戦延期を発表した。結果的に、その翌日に政府がスポーツ・文化イベントの自粛を要請。EXILEやPerfumeらアーティストのライブが当日に開催中止決定の憂き目にあったが、ルヴァン杯の延期を前日に発表していたJリーグは混乱を最小限にとどめた。

 さらに日本プロ野球機構(NPB)に話を持ちかけ、日本の二大スポーツが歴史的なタッグを形成。「新型コロナウイルス対策連絡会議」を発足させた。

 3人の専門家の意見を聞き入れた第1回会合が3日に終了すると、チェアマンはその足でトップリーグ連携機構の所属団体が集まる会合へ。バレーやバスケBリーグ、ハンドボール、ソフトボールなど多くの他競技団体と専門家の知見を共有した。引く手あまたで多忙を極める専門家の分析を各スポーツ団体が共有できたことは大きな意味を持った。

 9日の第2回会合では、専門家から「18日の再開は難しい」との意見が出た。チェアマンはすぐさま記者会見で内容を包み隠さず伝達。直後、全56クラブが出席するウェブ会議を行い、「4月3日の再開を目指す」方向で全会一致の結論を得た上で再びメディアを集め、理解を求めた。またも翌日に政府から発表された「10日間程度のイベント自粛要請延長」に先手を打つ形となった。社会的な影響力の大きい巨大組織の長であるにも関わらず、意思決定のスピードが早い。

 2度の記者会見と1度のメディアブリーフィング。第1回の会合から3度メディアの前に立ったチェアマンは、弊社サッカー担当で共有している文字起こし分によると1万3421字の発言を残している。内容は実に明解で、わかりやすい。前代未聞の事態に、リーダーとして真摯に立ち向かっている姿が読み解ける。

 チェアマンは、第1回の対策会議後に「統括団体の私が抽象的概念をこねくり回すよりも、はるかに臨場感、危機感ある意見交換だった。風評や噂など根拠のないもので不安を抱えていた自分がいた。専門家の先生方からの意見で、何が大事か視座が定まった」と語るなど、一貫して「素人」の姿勢を崩さない。わからないことはわからない、未定なことは未定と断言する。一方で「立法とか法案とか強制力がある介入が(政府から)あれば従うが、我々が判断できる枠組みがあるならばJリーグとして判断する」とコメントしたり、無観客試合に否定的な見解を示したりするなど、専門家の知見をベースとした熱意ある私見も随所に挟む。

 さらに「プロスポーツは興行として裾野が広いものですから、飲食関係、公共交通、宿泊関係、警備員だったり様々な方に支えられている。こうした延期が持つ意味合いは非常に重い」と話すなど、延期を強いられ経済的ダメージを被ることになるJクラブ関係者、再開を待ちわびるファン・サポーターを含めた全方面への敬意も忘れない。4月3日の再開に向け、4つのプロジェクト(日程調整・大会運営・財務・環境衛生保全)立ち上げを明言。再開判断への6段階の意思決定指標もアナウンスした。

 現実的に感染リスクゼロでの再開は難しく、どこかで折り合いをつける必要もある。「正しいこと」が日に日に変化する社会情勢もあり、難しい意思決定が今後も続いていくだろうが、チェアマンの手腕には引き続き期待と信頼を寄せたい。(記者コラム・岡島 智哉)

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